解決事例
更新日2020年12月30日

むちうちで7%の労働能力喪失率が認められた50代会社員の事例

執筆者:弁護士 木曽賢也 (弁護士法人デイライト法律事務所 パートナー弁護士)


※実際の事例を題材としておりますが、事件の特定ができないようにイニシャル及び内容を編集しております。
なお、あくまで参考例であり、事案によって解決内容は異なります。

ご相談者Cさん

受傷部位首(頚椎捻挫)、腰(腰椎捻挫)
等級併合14級
ご依頼後取得した金額
465万円

内訳
損害項目 弁護士によるサポート結果
後遺障害逸失利益 355万円(喪失率7%)
後遺障害慰謝料 110万円(裁判基準)
結果 465万円(当初提示額の約3倍)

状況

Cさんは、T字路の交差点でバックとドライブのギアを誤って入れ間違えた車に衝突される交通事故に遭いました。

この事故でCさんの車は大破し、修理に 100万円以上の費用を要しました。

それとともに、衝突の衝撃で首と腰を負傷し、頸椎捻挫、腰椎捻挫と診断されました。

そのため、事故後は整形外科に月の半分近く通院し、Cさんが勤めていた医療関係の仕事も休業せざるを得ない状況でした。

交通事故から半年ほど経過した際、保険会社の方から症状固定を言われ、後遺障害の手続を案内されたCさんは事前認定で併合14級と認定されました。

事前認定中にCさんは傷害部分の示談を保険会社から提案されたため、後遺障害の部分の結果が出る前に、先に示談書にサインをしていました。

事前認定の結果を知ったCさんが、傷害での示談にも疑問を感じていたため、後遺障害に関する部分は適切に補償されているのかきちんと確認したいとのことで弁護士に相談されました。

 

弁護士の対応

解説図弁護士は、Cさんがすでに受けていた相手方保険会社からの提示を確認したところ、逸失利益、慰謝料ともに十分な補償を受けているとはいえない状況でした。

逸失利益に関しては、労働能力喪失期間は2年間など非常に短い期間しか補償されていませんでした。

そのため、弁護士はCさんから仕事での支障をうかがい、事故後にCさんの収入にどのように影響しているかを確認しました。

資料を確認したところ、14級の労働能力喪失率である5%を上回る減収が発生していたため、当該資料を踏まえて現実的な減収額を基礎に逸失利益を算出すべきである旨を主張しました。

喪失期間も最低でも5年間は補償されるべきであるとCさんの業務への支障を指摘して請求しました。

保険会社は当初、原則どおり逸失利益は5%の喪失率を基準に算出すべきである、慰謝料は80%でという主張でしたが、こちらに過失はなかったため、裁判をしても構わないことやその場合は、喪失率だけでなく喪失期間も争う旨伝え、相手方保険会社に再考を求めました。

その結果、裁判をすることなく、慰謝料については裁判基準満額、逸失利益については、現実の収入減少額を基準として 355万円の補償を得ることができました。

当初提示額からは約3倍の増額、喪失率は本来の14級で認められる5%ではなく7%での解決となりました。

 

弁護士のアドバイス

逸失利益の基本的な計算方法は、以下となります。

①基礎収入 × ②労働能力喪失率 × ③労働能力喪失期間(就労可能年数に対応する中間利息控除係数)

①基礎収入・・・後遺障害がなければどれだけの所得があったか
②労働能力喪失率・・・基礎収入が後遺障害によってどれくらい減少したか
③労働能力喪失期間・・・労働能力喪失の影響がどの程度の期間継続するか

労働能力喪失率は、等級に応じた労働能力喪失率が定められており、基本的にこの喪失率を基礎に算出されます。

労働能力喪失率表、その他の逸失利益に関する詳細はこちらをご覧ください。

ただし、労働能力喪失率表が全てではありません。

実際に裁判でも、同表を参考にしつつも、被害者の職業、年齢、性別、後遺障害の部位・程度、事故前の稼働状況等の事情を総合考慮して、喪失率の増減がなされています。

そうすると、個別的な事情を立証できれば、より高い喪失率が認定されるケースもあります(もちろん、通常より低い喪失率が認定されるケースもあります。典型的には醜状障害などです。)が、決して容易なことではありません。

今回のCさんは実際上5%以上の影響が出ていたことを資料を提示して説得できたため、原則の喪失率以上の補償が認められました。

その他、むちうちに関する弊所の解決事例は以下をご覧ください。

 


なぜ交通事故は弁護士選びが重要なのか

続きを読む