解決事例
更新日2021年3月24日

TFCC損傷で後遺障害非該当が異議申立てで12級13号を得た事例

執筆者:弁護士 木曽賢也 (弁護士法人デイライト法律事務所 パートナー弁護士)


※実際の事例を題材としておりますが、事件の特定ができないようにイニシャル及び内容を編集しております。
なお、あくまで参考例であり、事案によって解決内容は異なります。

ご相談者Nさん

受傷部位右手TFCC損傷
等級12級13号(右手痛)
ご依頼後取得した金額
500万円

内訳
損害項目 弁護士介入前 弁護士介入後
後遺障害 非該当 12級13号

 

状況

Nさんは、バイクで交差点を直進していたところ、Nさんの左方の一旦停止のある道路から自動車が交差点に飛び出してきたために、よけきれず、転倒する交通事故にあいました。

Nさんは、事故後に整形外科を受診し、当初は頸椎捻挫、右手関節捻挫と診断されていました。

Nさんの相手方は、自賠責保険のみで任意保険未加入であったため、人身傷害保険を利用して治療を行っていました。

交通事故からしばらく経過しても右手の痛みが治まらなかったため、通院していた整形外科から紹介状をもらい、大学病院を受診しました。

そこで、MRI検査を受け、自覚症状(右手を小指側に回すと痛みが増強する、クリック音がする)などからNさんは右手のTFCC損傷と診断されました。

幸い、TFCC断裂までには至っていないということで、手術はせず、サポーターを着用して保存治療を行いました。

事故から半年ほど経過した段階で、症状固定と診断され、Nさんは大学病院で後遺障害診断書を作成してもらいました。

これを人身傷害保険会社に提出し、後遺障害の申請をしましたが、非該当という結果でした。

この結果が妥当なのか疑問に感じたNさんは弁護士に相談することにしました。

 

弁護士の対応

弁護士は相談時に、一度目の後遺障害の非該当の理由を確認しました。

すると、自賠責保険は、右手のTFCC損傷について、「MRI画像上損傷がはっきりしない」という理由で非該当の判断をしていることがわかりました。

しかし、主治医の先生は後遺障害診断書上「TFCC損傷」と明記していたため、弁護士は主治医の見解を伺う必要があると判断しました。

そこで、Nさんに大学病院の再受診をしてもらい、弁護士はその受診に同席することにしました。

主治医の先生は、弁護士に対して、非常に丁寧に、TFCC損傷と結論付けた理由をお話ししてくださいました。

その中で、画像上も自覚症状と整合する所見が見受けられるという話がありました。

弁護士は、主治医の先生に対して、当該内容の診断書を作成してもらうようお願いし、快く応じていただけました。

当該診断書を新たな資料(医証)として添付して、自賠責保険に被害者請求を行いました(被害者請求とは、後遺障害申請の一種の方法です)。

その結果、一度目の申請では非該当だったものが、後遺障害等級12級13号と認定されました。

その認定理由には、改めて画像を見たところ、「TFCC損傷」所見が認められると主治医の先生と同じ意見が書かれていました。

Nさんは後遺障害が認定されたことで、自賠責保険と自分の人身傷害保険から約500万円の保険金を受領することができました。

 

弁護士のアドバイス

異議申立てを行うに当たっては、新たな資料(医証)が必要不可欠です。

一度目の資料をそのまま出したとしても結論は変わりません。

異議申立てにより、等級が変更される可能性は5%程度といわれています。

今回のNさんのケースでは、主治医の先生が非常に協力的で、TFCC損傷と診断した理由を書面で説明していただけたことが結果につながりました。

このように、場合によっては弁護士が被害者の診察に同席したり、医師面談を行って新たな資料の作成を試みることが重要なケースがあります。

補償が 0と 500万円では天と地の差であり、適切な等級認定を得ることが大切だと改めて感じる事案です。

また、Nさんのケースのように、相手方が任意保険未加入の場合は、相手方と直接交渉しなければならないため、弁護士が介入した方が良いことが多いです。

 

 


なぜ交通事故は弁護士選びが重要なのか

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