解決事例
更新日2020年8月21日

弁護士による異議申立てで、12級13号の後遺障害が認定された事例

執筆者:弁護士 鈴木啓太 (弁護士法人デイライト法律事務所 パートナー弁護士)

※実際の事例を題材としておりますが、事件の特定ができないようにイニシャル及び内容を編集しております。
なお、あくまで参考例であり、事案によって解決内容は異なります。

ご相談者Tさん

受傷部位首(頚椎捻挫)、腰(腰部捻挫)
等級12級13号(12級13号(腰部痛))
ご依頼後取得した金額
約550万円

内訳
損害項目 弁護士によるサポート結果
後遺障害慰謝料 290万円
後遺障害逸失利益 約451万円
後遺障害に既払分 △約190万円
追加の回収額 約550万円

※傷害部分・後遺障害14級部分に関しては、相談前に示談済の事案です。

 

状況

解説図Tさんは、列の先頭で信号待ちをしていたところ、加害車両がノーブレーキでTさんの後方車両に衝突し、その衝撃によりTさんの車両に後方の車両が追突するという玉突き事故にあいました。

Tさんの車両は玉突き事故の先頭車両でしたが、修理費用は 60万円を超えており、相当の衝撃が加わったことが伺える状事故でした。

その後、Tさんは整形外科を受診し、治療を開始しました。受傷当時、腰椎骨折が疑われるなど、腰部に特に強い痛みを訴えており、左下肢のしびれを訴えていました。

治療を継続しても腰部の痛みが治まらないため、MRIを撮影したところ、L4/5に椎間板ヘルニアの所見が得られました。

解説図その後もTさんは治療を継続しましたが、腰部の疼痛(ずきずきとうずくような痛み)は収まらず、半年間を経過した時点で、症状固定とし、後遺障害の申請をされました。しかし、結果は非該当でした。

この結果に納得できなかったTさんは、保険会社のアドバイスを受けながら自力で資料を集め、異議申し立てをされたところ、腰部痛について14級9号が認められました。

しかし、Tさんは、MRIによるヘルニアの所見があることや、自身の腰部の強い痛みから、本当に14級という等級が適正なのかと疑問を持っていました。ただ、早期解決も望んでいたことから、14級9号を前提としてに相手方保険会社と示談されました。

もっとも、後遺障害等級について上記のような疑念があったため、示談するにあたっては、「示談成立後、本件事故による後遺障害が認定された場合には別途協議する」旨の文言を入れてもらい、後遺障害がさらに認定された場合には、その分の損害賠償請求ができるような内容にして示談されました。

その後、Tさんは自身の14級9号という認定が適正なものなのか確認するために、いくつか法律事務所を回り、その内の一つとして弊所にご相談に来られました。

 

弁護士の対応

弁護士弁護士は、Tさんが相談時においても強く腰部の痛みを訴えており、持参された資料にはヘルニアの所見がみられたことから、見通しを立てるために病院のカルテを取得しました。

カルテには、Tさんが一貫して腰部痛や下肢のシビレを訴えており、また、巨大なヘルニアがある旨の所見も記載されていました。さらに、事故当時には腰椎骨折の疑いがあったことも記載されていました。

そこで、弁護士は、異議申立書において、カルテを根拠に症状の一貫性やヘルニアの所見が認められていることや、Tさんの当時の日常生活及び仕事上の不具合を陳述書にまとめ、さらに、異議申立て当時もTさんは通院していたことから、その旨も合わせて申立書に記載し、異議申し立てをしました。

弁護士その結果、MRIにて腰部の神経組織の圧迫が認められ、受傷態様や治療経過を踏まえて、他覚的に神経系統の障害が証明されるとして、腰部痛にて12級13号が相当であると認定され、異議申し立てが認められました。

弁護士は、この結果に基づき、相手方保険会社と示談交渉に臨みました。

Tさんは既に、14級を前提として、傷害部分、後遺障害部分について示談をしていましたので、12級が認定されたことで増額される部分について、保険会社に賠償請求をしました。

当初、保険会社は、後遺障害慰謝料は裁判基準の90%を主張していました。

しかし、弁護士は、これまでの経緯や現在のTさんの状態を考慮すると、少なくとも裁判基準100%の解決でなければ応じることができないと粘り強く交渉し、結果として後遺障害慰謝料は100%、逸失利益についても裁判基準での解決をすることができました。

 

弁護士のアドバイス

本件では、後遺障害の認定にどうしても納得できないというTさんの想いから、弊所にご相談いただき、12級13号の等級を獲得することができ、その想いに応えることができた事案でした。

何より、示談をする際に、「示談成立後、本件事故による後遺障害が認定された場合には別途協議する」旨の文言をTさんが入れてもらっていなければ、異議申し立てもできない状況でした。

14級9号と12級13号の認定の境目は、医学的に証明できるかどうかが分かれ目になります。

本件では、画像所見や神経学的検査、治療経過や事故状況を丁寧に説明することで、医学的に証明できるレベルまでにすることができました。

12級13号と14級9号の認定の区別について詳しくは、
Q&A「むちうちで後遺障害の12級が認定されるのはどのような場合ですか?」をご覧ください。

 

 

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