解決事例

むちうちで後遺障害認定され70才までの逸失利益を得た60代の事例

執筆者
弁護士 鈴木啓太

弁護士法人デイライト法律事務所 パートナー弁護士

所属 / 福岡県弁護士会

保有資格 / 弁護士




※実際の事例を題材としておりますが、事件の特定ができないようにイニシャル及び内容を編集しております。
なお、あくまで参考例であり、事案によって解決内容は異なります。

ご相談者Bさん
(福岡県田川郡)


受傷部位首(頚椎捻挫)、腰(腰椎捻挫)
等級併合14級
ご依頼後取得した金額
275万円

内訳

損害項目 弁護士介入後
傷害慰謝料 90万円
後遺障害慰謝料 110万円(裁判基準)
後遺障害逸失利益 55万円(70才まで)
結果 275万円(休業損害含む)

  

状況

福岡県田川郡にお住いのBさんは、渋滞で前がふさがっていたために停止していたところ後続車に衝突される交通事故に遭いました。

この事故でBさんは、頚椎捻挫、腰椎捻挫と診断され、いわゆるむちうち症状が出てきました。

そのため、事故後しばらくは週の半分近く整形外科での治療を継続していました。当初は消炎鎮痛処理をしてもらった上で、痛み止めをもらっていましたが、それでも症状が改善されず、事故から数ヶ月経過してからは痛み止めの注射を打ってもらっていました。

ところが、修理費が安かったこともあって保険会社から事故後半年経過する前に、「そろそろ治療を終了してほしい。」と連絡がBさんにありました。

こうした保険会社の対応に困ったBさんは弁護士に相談に来られました。

 

弁護士の関わり

解説図弁護士が、Bさんに身体の状態を確認したところ、相談時においても首と腰に痛みが残っており、治療を継続するごとに徐々に良くなってきているとのことでした。

そのため、弁護士は、相手保険会社に一括対応(保険会社が直接病院に治療費を支払う対応)を継続するように交渉を行いましたが、事故の規模などを理由に保険会社は応じませんでした。

そこで、Bさんに説明して、健康保険を利用して自費で治療を継続することとなりました。

事故から8カ月程経過した段階で、Bさんは症状固定となり、後遺障害診断書を主治医に作成してもらいました。

後遺障害診断書に記載された症状固定日は、健康保険で治療した最終日となっていました。

症状固定日について詳しくは、こちらをご覧ください。

後遺障害診断書に弁護士が収集した必要書類一式を加えて、後遺障害の申請を行ったところ、首の痛みと腰の痛みについて、それぞれ14級9号の認定を受けることができました。

弁護士は、この認定の結果を踏まえて、Bさんの損害を裁判基準(裁判をした場合の水準で最も高い水準)で計算して相手保険会社に提示しました。

本件では、Bさんは事故当時60代後半であり、後遺障害逸失利益が何歳まで認められるかが問題となりました。

この点、Bさんに確認したところ、「勤務先からは70歳までは働いてほしい」という要請があるとのことでした。

そこで、弁護士は、Bさんの話を踏まえて、70歳までの期間を労働能力喪失期間として、後遺障害逸失利益を請求しました。

その結果、保険会社もこちらの主張を認め、70歳までの後遺障害逸失利益を認めてもらうことができました。

また、傷害慰謝料及び後遺障害慰謝料については、当初、保険会社は裁判基準の90%といった主張をしていましたが、交渉を重ねた結果、最終的には、裁判基準の満額で合意することができました。

さらに、症状固定日が、Bさんが健康保険で治療を終えた時点の日にちが記載されていたため、Bさんが自費で通院していた際の治療費も回収することができました。

 

補足

後遺障害逸失利益は、次の計算式で計算されます。

基礎収入 × 労働能力喪失率 × 労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数

「基礎収入」は、原則、事故前年の年収で算出します。

「労働能力喪失率」は、原則、後遺障害別の等級表で決まります。

「労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数」は、まず、労働能力喪失期間を確定させ、その年数に対応するライプニッツ係数(中間利息を控除する係数)を確定させるのです。

後遺障害逸失利益の算出方法について、詳しくはこちらをご覧ください。

本件では、労働能力喪失期間が争点となりました。

労働能力喪失期間は、実務上、原則として67歳までと考えられています。

しかし、高齢者が事故に遭った場合には、すでに67歳を超えているケースや67歳まであとわずかな年数しかないことがほとんどです。

こうした場合には、平均余命の2分の1を労働能力喪失期間として計算すると考えられています。

例えば、67歳男性の場合、平成29年の簡易生命表によれば平均余命は18年なので、その半分の9年が労働能力喪失期間として計算されます。

しかし、こうした計算をするには、大前提として、実際にその年齢まで働く見込みがあることが必要となります。

したがって、仮に67歳の時点で、すでに定年退職しており、働く見込みもないような場合には、そもそも後遺障害逸失利益は認められないのです。

本件では、Bさんの年齢は、60代後半でした。

したがって、症状固定後においても継続して就労していく見込みを説明する必要があったのです。

Bさんは、会社との雇用継続の話の中で、70歳までは継続してほしいという要請があったため、それを相手保険会社に説明することで、70歳までの逸失利益を獲得することができました。

 

   
執筆者
弁護士 鈴木啓太

弁護士法人デイライト法律事務所 パートナー弁護士

所属 / 福岡県弁護士会

保有資格 / 弁護士

専門領域 / 個人分野:交通事故を中心とした人身障害事件 法人分野:労働問題  

実績紹介 / 交通事故の相談件数年間300件超え(2019年)を誇るデイライト法律事務所のパートナー弁護士。交通事故分野において、他士業や整骨院、一般市民向けのセミナー講師も務めた。


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