解決事例

左手可動域制限で12級を獲得し、賠償金が約4.7倍に増額した事例

掲載日:2016年11月16日|最終更新日:2020年2月5日




※実際の事例を題材としておりますが、事件の特定ができないようにイニシャル及び内容を編集しております。
なお、あくまで参考例であり、事案によって解決内容は異なります。

ご相談者Mさん
(北九州市小倉北区)


受傷部位左手根筋断裂、右上腕顆上骨折、左脛骨腓骨骨幹部骨折
等級併合12級(左手関節の可動域制限(12級6号)、左膝痛(14級9号))
ご依頼後取得した金額
720万円

内訳

損害項目 保険会社提示額 弁護士介入後
入院雑費 18万4800円(1日1100円) 9万円(1日1500円)
傷害慰謝料 約110万円 135万円(入院2か月、実通院日数3.5倍(約2か月) 裁判基準)
後遺障害逸失利益 約475万円(257万5000円(事故前年収入)×14%×22年) 約1150万円(466万3500円(賃金センサス)×14%×44年)
後遺障害慰謝料 93万円 290万円(裁判基準)
結果 約150万円(過失相殺40%) 720万円(570万円以上増額)
(過失相殺40%)

 

状況

Mさんは、深夜に友人と飲酒した後、大通りを横断歩道外から横断していたところ、自動車にはねとばされる交通事故にあいました。

Mさんが横断していた道路が片側2車線の道路であり、自動車も高速で走行していたことから、Mさんは救急車で救急病院に搬送されました。

そして、搬送先の病院で左脛骨腓骨骨幹部骨折、右上腕骨骨折、左前腕腱断裂という重傷を負い、入院を余儀なくされました。

そして、骨折した左足と右上腕は固定する手術を、腱が断裂した左手は、腱の縫合手術を事故から間もなく受け、リハビリを継続しました。

入院は2所の病院で合計6か月近くにわたり、退院後は自宅近くの整形外科に定期的に通院しました。そして、交通事故から1年半ほど経過したところで、主治医から症状固定と診断され、保険会社に後遺障害の手続を行ってもらいました。

その結果、左手の可動域制限により12級6号、骨折した左足については膝痛で14級9号の認定を受けました。この後遺障害の結果を踏まえて、Mさんは保険会社から示談案を提案されました。

Mさんが20代と若いこともあり、今後のことが不安になったMさんの両親が弁護士に相談に来られました。

 

弁護士の関わり

弁護士が保険会社からの提示を確認したところ、過失割合は妥当な割合でしたが後遺障害慰謝料は裁判基準の30%程度であり、その他部分についても明らかに不十分な内容でした。

特に後遺障害慰謝料については、特に理由もなく労働能力喪失期間が22年とされており、また、将来の昇級の可能性などが全く考慮されていない内容の提示になっていました。

Mさんから依頼を受けた弁護士は、裁判基準(裁判をした場合の水準で最も高い水準)で損害を計算し直し、相手保険会社に提示しました。

逸失利益については、Mさんに残った後遺障害が神経障害(痛みや痺れの障害)と違って、腱断裂に伴う可動域制限(関節が動く範囲の制限)であり、回復の見込みが立たないため、原則どおり67歳までを喪失期間とすべきであることを主張しました。

また、Mさんが20代と若く、将来昇給などで事故直前の収入以上になる可能性が十分に見込まれることから賃金センサス(平均賃金)を基礎収入にすべきことを主張しました。

逸失利益の計算方法についてはこちらをご覧ください。

交渉当初は、相手保険会社は慰謝料は裁判基準の80%で逸失利益についてもMさんの現実収入で計算すべきといった主張をしていました。

しかし、交渉を繰り返すうちに、最終的には後遺障害慰謝料は12級の裁判基準である 290万円で合意することができました。

また、逸失利益は、基礎賃金を賃金センサスとし、喪失期間を原則どおり67歳とすることで約1150万円とする内容で合意することができました。

その結果、Mさんの賠償額は 720万円となり、当初提示額の4.7倍にまで増加しました。

 

補足

若年者の逸失利益の計算について

30歳未満の若年者については、将来において給料が上がることが予想されます。

したがって、67歳までの逸失利益を計算するときに、20代時点の現実収入で計算すると、将来の昇給が考慮されてないこととなり不合理です。

そのため、賃金センサス(平均賃金)を用いて逸失利益を計算することがあります。

ただし、全てのケースで賃金センサスを利用できるわけではありません。

将来において、平均賃金を得ることができる蓋然性が立証できないと賃金センサスは利用できません。

被害者の事故当時の年収や学歴や資格、職種など様々な事情を踏まえて、将来において昇給していく可能性があり、将来において賃金センサスの年収額程度の収入をえる蓋然性があることを立証することが必要です。

本件においても、Mさんの現実収入などから将来において賃金センサスの年収額をえる蓋然性があることを説明した結果、賃金センサスを利用しての逸失利益を得ることができました。

 

可動域制限の後遺障害

弁護士鈴木啓太神経症状(痛みや痺れ)の後遺障害の場合、神経症状は時間の経過により徐々に軽減していくと考えられているため、逸失利益の労働能力喪失期間は、14級の場合5年程度、12級の場合10年程度と限定的に考えられています。

しかし、関節の可動域制限の後遺障害の場合、その原因となった骨折や脱臼により一生涯残ってしまうかもしれないという前提で認定がされています。

したがって、逸失利益の計算においても、労働能力喪失期間は、一般的な労働可能年齢の67歳まで認められる傾向にあります。

また、関節の機能障害については、正常な側に対して、損傷を受けた側の関節がどの程度動くかによって、後遺障害の等級が決まっています。

したがって、いかに正確に可動域を計ってもらうかが適切な後遺障害を得るためには重要になります。

基本的には、日本整形外科学会にて各関節の可動域の測定方法が定まっており、角度計を用いて測定します。

中には目分量で測定するケースもあるようですので、注意が必要です。

 



なぜ交通事故は弁護士に依頼すべきなのか?

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