ドローンにおける損害賠償問題
最近よくドローンという言葉を耳にしますが、ドローンとは無人の航空機のことです。
その性能は様々ですが、コントローラーで操縦するものや、位置情報のGPSを使って、入力地点まで自動で飛ばすことができるものまであります。
ドローンの購入には特に規制はなく一般市民の方でも購入することが可能です。
ですから、こういった機能に着目して、政府の重要機関を攻撃したり、あるいは、他者への嫌がらせに利用する者が現れる危険が多分にあります。
4月22日に首相官邸の屋上から、ドローンが発見された件は、まさにドローンが悪用された事件です。
落下したドローンには、放射能マークが付いたシールの容器が搭載されており、その容器に入っていた土には微量の放射性セシウムが含まれていました。
この事件の犯人の男は、威力業務妨害罪で逮捕されていますが、今後も同種の事件が発生する可能性があります。
また、悪用されるケースだけでなく、過失により墜落させてしまい、他者に怪我を負わせてしまう危険もあります。
このような場合、法的問題としては、民事上は、操縦者に損害賠償請求することが考えられます。ドローンによっては、数百メートルの高度まで上昇できるものもあり、その高度から墜落した場合には、相当の衝撃が生じることになり、死亡事故すら起きかねません。死亡事故となれば、その賠償金額は多額にのぼり、場合によっては1億円を超えるような賠償額にもなりえます。
また、刑事上では、過失致死傷罪などの問題になることも考えられ、ドローンを業務として使用している場合には、業務上過失致死傷罪の問題にもなりえます。
このように、ドローンは法的問題に発展しうる様々な問題点を抱えていますが、現行の法規制では、人が乗った航空機に関する規制はあるものの、無人の航空機に関する詳細な規制はされていません。
今後は、ドローンの飛行エリアの規制や、免許制、購入時の登録制などを規制する法整備が望まれるところです。
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