保険会社を拘束する交通事故の解決方法とは?【弁護士が解説】

保険会社を拘束する交通事故の解決方法があると聞きました。
どういう方法ですか?
財団法人交通事故紛争処理センターでの和解あっ旋や審査結果(裁定)は、損害保険会社を事実上拘束します。
保険会社は、法的な強制力がないものの、和解あっ旋の呼び出しを無視できないため出席しなければなりませんし、審査結果を尊重し、訴訟など他の解決手段を取ることができないことになっています。
目次
(財)交通事故紛争処理センターとは?
(財)交通事故紛争処理センターは、交通事故分野の代表的なADR機関です。
交通事故被害者・加害者側損害保険会社(JA共済、全労済含む)の損害賠償問題を解決することを目的に、損害保険会社が中心となって設立された公益法人です。
交通事故紛争処理センターについて
本部は東京都、支部は高等裁判所のある都市6か所、3つの都市に相談所が置かれています。
北九州市の事故であれば、福岡市中央区の天神の紛争処理センターが管轄になります。
(財)交通事故紛争処理センターのメリットとデメリット
- 裁判基準満額の解決は困難である。
- 損害保険会社は、和解あっ旋の呼び出しに対し出席しなければならない。
- 損害保険会社は、審査結果(裁定)を尊重し訴訟など他の解決手段をとることができない。 一方で、相談者(申立人)は裁定に不服があれば、訴訟提起ができる。
- 申込みの件数が多く、示談に比べて解決まで時間がかかる。
- 裁判基準満額の解決は困難である。
ADR機関とは?
ADR機関とは、裁判外紛争処理機関のことです。
(財)交通事故紛争処理センター以外にも下記センターなどがあります。
- (財)日弁連交通事故相談センター
- (財)自賠責保険・共済紛争処理機構
- (財)そんぽADRセンター
- 各弁護士会紛争解決センター
和解あっ旋・審査手続きの流れ
(財)交通事故紛争処理センターの紛争解決は和解あっ旋、審査の2段階で行われます。
和解斡旋
和解斡旋は以下の流れで進みます。
合意をすれば、和解が成立し、合意しなければ審査に移行します。
審査
審査については、以下の流れで進んでいきます。
弁護士による紛争処理センターへの申立て
上記のような流れで、紛争処理センターでの和解あっ旋、審査手続きは進んでいきますので、被害者の方のみで手続きを進めていくことも可能です。
もっとも、和解あっ旋をしてくれる弁護士は、あくまで中立的な立場で活動するため、積極的に被害者の利益を最大化するような活動までは期待できません。
そこで、被害者としては、弁護士に依頼して紛争処理センターに申立をすることも検討すべきでしょう。
そもそも、弁護士に依頼した場合には、交渉で十分な補償を得ることができるかもしれませんが、交渉に行き詰まり、裁判までは被害者が望まれないような場合には、弁護士において、紛争処理センターに申立を行うことはあります。
弁護士が、紛争処理センターを利用する場合には、あらかじめ争点を把握しているため、その争点について、被害者に有利な事情や証拠を提出します。
また、弁護士において、手続きの全てを行うので、被害者の方の手間を大幅に減らすことができます。