よくある相談Q&A

交通事故による怪我の治療に労災保険を使用できるのでしょうか?


掲載日:2016年10月7日|最終更新日:2020年1月14日

ご質問について、交通事故に特化した弁護士が回答します。

○を出す男性のイメージイラスト交通事故による怪我の治療でも労災保険を使用できます。

交通事故による怪我の治療は、加害者側の自賠責保険、任意保険によって治療費を負担するのが原則です。

ただ、労災保険は加害者との示談が終了していなくても支給されますので、労災保険が適用される事故の場合、労災保険を使用することが適切なことがあります。

労災保険とは

労災保険は労働者災害補償保険法に基づき、業務上または通勤による負傷、疾病、傷害、死亡に対し保険給付を行う制度です(労働災害保険法2条の2)。

「業務上」には、就労中や社員旅行等の会社行事、出張中の事故などが含まれます。

裁判例では、業務と密接に関連して開催された研修生らの歓迎会に参加し、会の終了後に研修生らをアパートまで送って工場に戻って業務を行うため、研修生らを車に乗せて運転している最中に起きた事故で、業務上の事故と認められたものがあります(最判H28.7.8)。

もっとも、地震や竜巻などの自然現象による交通事故などは、業務災害として認められないことがあります。

「通勤」災害は、住居と就業場所間の往復だけでなく、兼業労働者の就業場所間の移動や、単身赴任者の住居間移動も含まれます。

ただし、これらの場所の間を合理的な経路と方法で移動することが必要となります(労働災害保険法7条2項)。

そして、移動経路からの「逸脱」や移動の「中断」があった場合は、それ以降「通勤」とは認められません(労働災害保険法7条3項)。

例えば、帰宅途中に特に必要性もないのに寄り道をした場合、「通勤」とはみなされない場合があります。

通勤災害も、自然現象による交通事故は、対象外になる可能性があります

 

 

交通事故での怪我の治療に労災保険を使うためには

交通事故の治療に労災保険を使う場合、被災労働者は、労働基準監督署長あてに「第三者行為災害届」を提出します。

「第三者」とは、政府、勤務先企業、労災の受給権者(被害者)以外の人のことです。

労災保険を使った場合に受けられる給付

療養(補償)給付
治療費や入院費など、傷病の治癒のために必要な費用が支給されます。
休業(補償)給付
仕事を休んだことによって給料が得られない場合に、給料の一部に相当する額が支給されます。
障害(補償)給付
ケガが完治しきれず、一定の障害が残った場合に、その程度に応じて支給されます。
遺族(補償)給付
被害者の方が死亡した場合に、遺族に対して年金または一時金が支給されます。
葬祭料
被害者が死亡した場合に、遺族に葬儀費用が支給されます。
傷病(補償)年金
療養開始後、1年6ヶ月経過しても傷病が治っていない場合に、休業(補償)給付から切り替わって支給される年金です。
介護(補償)給付
障害(補償)年金や傷病(補償)年金の受給者が、介護を必要とする場合に支給されます。

 

 

労災保険を使うメリット

加害者に賠償能力がないとき、被害者の自己負担を軽減できる

交通事故の後、加害者が治療費を支払わないとき、治療費は被害者が負担することになります。

たとえば労災保険や健康保険を使わない自由診療での治療を受診していた場合、被害者自身が治療費全額負担することになります。とすると被害者の負担額は大きな金額になります。

労災保険で受診すると、医療機関へ支払う治療費は労災保険から全額支払われますので、加害者が支払わなくても自己負担が不要となります。

 

過失相殺の影響を受けない

バイク事故被害者の交通事故の過失が大きい場合、治療費は過失に応じて減額されることがあります。

しかし、労災保険を使えばその治療費は損害賠償金ではなくなります。

労災保険療養補償給付は、被害者自身のための給付ですから、過失割合による減額をされません。

 

 

損益相殺

自動車保険労災保険で給付を受けた場合、損害は補填されたわけですから、任意保険や他の保険制度から二重に補償を受けることはできません。

これを損益相殺といいます。

ただし、休業した場合に支払われる「休業特別支給金」(基礎日額の2割分)は、損益相殺の対象になりません。

 

 

最後に

交通事故による治療を受けていると、保険会社より健康保険や労災保険での治療に切り替えてほしいと要求されることがあります。

保険会社の担当者によっては自賠責保険、任意保険での治療が適切な場合(加害者の過失が大きい場合)でも要求することがあります。

保険会社労災保険を使うかどうかは、最終的に被害者が決定するものです。

そのためには、労災保険を使うとどのような結果になるのかを適切に理解していなければなりません。

労災保険が使える可能性がある場合は、交通事故にくわしい弁護士に相談されることをお勧めします。

当事務所の弁護士は交通事故の圧倒的な解決実績を誇っています。まずは弁護士までお気軽にご相談ください。

 

 

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