Uターンでの事故の過失割合は?タイプ別に図で解説

執筆者:弁護士 鈴木啓太 (弁護士法人デイライト法律事務所 パートナー弁護士)

Uターン車と直進車との間で交通事故が発生した場合、基本的には、Uターン車の過失の方が大きくなります。

車両は歩行者又は他の車両等の正常な交通を妨害するおそれがあるときは、Uターンを禁止されています(道路交通法25条の2第1項)。

「正常な交通を妨害するおそれ」というのは、Uターン車の対向車や後続の車が一時停止や徐行、進路を変更しなければ進行できない状態をいいます。

つまり、Uターンを完了するまでは、Uターン車は直進車の進行妨害をしてはなりません。

※本文中の交通事故図は別冊判例タイムズ38民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準 全訂5版(東京地裁民事交通訴訟研究会 編)を参考にしています。

 

直進車とUターン車の過失割合

以下の相談事例をご覧ください。

過失割合についての質問です。
交差点でUターンしてきた車両と衝突し、交通事故を起こしました。

相手は私が追突したと主張していますが、納得できません。

Uターン時の事故の過失について教えてください。

上記で説明したように、直進車とUターン車との交通事故では、基本的にはUターン車の過失が大きくなります。

しかし、こうした交通事故の場合、Uターン車に一方的に過失があるのでなく、直進車にも過失はあるとされています。

その理由は、直進車もUターン車に気付く可能性が十分にあったわけですから、Uターン車の動静に注意し、交通事故を未然に防ぐ安全運転義務があります(道路交通法70条)。

ですので、直進車にも一定の過失があると考えられているのです。

Uターン事故のタイプ
Uターン事故は、Uターン車がUターン中に直進車と衝突する事故とUターン終了直後に直進車と衝突する事故があります。

自動車同士の交通事故

A:直進車 B:Uターン車
Uターン車がUターン中の事故 20 80
Uターン終了直後の事故 30 70

交通事故が自動車同士で発生した場合の基本の過失割合は上図のとおりとなっています。

また、以下のような事情がある場合には、過失割合が修正されます。

  • 直進車の過失に加算される修正要素
    • 直進車の15㎞/h以上の速度違反
    • 直進車の30㎞/h以上の速度違反
    • 直進車の著しい過失
    • 直進車の重過失 など
  • 直進車の過失に減算される修正要素
    • Uターン車の合図なし
    • 転回危険場所、転回禁止場所
    • Uターン車の著しい過失
    • Uターン車の重過失 など

 

バイクと自動車との交通事故

直進車がバイク、Uターン車が四輪車の場合

直進車 Uターン車
Uターン車がUターン中の事故 10 90
Uターン終了直後の事故 20 80

この図からもわかるように、自動車同士のときに比べて、バイクが直進車の場合には、直進車の過失が小さくなっています。

また、自動車同士の交通事故と同じく、以下のような事情がある場合には、過失割合が修正されます。

  • 直進車の過失に加算される修正要素
    • 直進車の15㎞/h以上の速度違反
    • 直進車の30㎞/h以上の速度違反
    • 直進車の著しい過失
    • 直進車の重過失 など
  • 直進車の過失に減算される修正要素
    • Uターン車の合図なし
    • 転回危険場所、転回禁止場所
    • Uターン車の著しい過失
    • Uターン車の重過失 など

 

直進車が自動車、Uターン車がバイクの場合

直進車 Uターン車
Uターン車がUターン中の事故 30 70
Uターン終了直後の事故 40 60

この場合も、自動車同士の交通事故に比べ、直進車である自動車の過失が大きくなっています。

以下のような事情がある場合には、過失割合が修正されます。

  • 直進車の過失に加算される修正要素
    • 直進車の15㎞/h以上の速度違反
    • 直進車の30㎞/h以上の速度違反
    • 直進車の著しい過失
    • 直進車の重過失 など
  • 直進車の過失に減算される修正要素
    • Uターン車の合図なし
    • 転回危険場所、転回禁止場所
    • Uターン車の著しい過失
    • Uターン車の重過失 など
 上記の過失割合は、あくまで目安です。
過失割合は、当該事故のすべての事情を総合して判断されることになるので、上記割合と異なる割合になることもあります。

 

 

まとめ

過失割合の交渉を行うのは、弁護士でも困難なことが多くあります。

なぜなら、これまで説明してきたように、交通事故の過失割合には一定の基準があるため、この基準を超える割合を主張する場合などは、その主張を裏付ける適切な証拠がなければ、保険会社を納得させることは難しいからです。

設例のようなUターンの交通事故で、Uターンの仕方が極めて危険だったことを証明して、10:0で解決した事例がございます。

事例はこちらからご覧ください。

 

 

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