よくある相談Q&A

交通事故の怪我を治療した病院で医療事故。誰に損害請求できる?

執筆者
弁護士 鈴木啓太

弁護士法人デイライト法律事務所 パートナー弁護士

所属 / 福岡県弁護士会

保有資格 / 弁護士



交通事故と医療事故との関連性が認められれば、交通事故の加害者、診察を誤った医師のどちらにでも損害を請求できます。

共同不法行為責任とは

悩む男女のイラスト交通事故による加害行為と医療事故による加害行為が一体となって1つの損害をひき起こしたと言える程度まで密接な関連性が認められる場合、他の加害行為によって生じた損害についても相当因果関係が認められ、加害者は全損害について賠償責任を負います。

これを共同不法行為責任といいます。

 

 

裁判例で認められた共同不法行為の例

医師側に認められる過失の内容としては、以下のようなものが挙げられます。

悩む男女のイラスト① 治療手技上の過失

② 早期の治療・検査を怠った過失

③ 転送義務違反

④ 説明義務違反

 

最高裁 平成13年3月13日

自転車事故のイラスト

被害者は、事故当時6歳で、自転車を運転中にタクシーに接触して転倒し、直ちに救急車で病院に搬送されました。

搬送先の病院の医師は、軽微な事故と認識したうえで、左頭部打撲傷、顔面打撲と診断し、被害者を帰宅させました。

しかし、被害者は帰宅後に、嘔吐やけいれん症状を起こし、最終的に急性硬膜外血種により死亡しました。

なお、急性硬膜外血種は、早期に血腫除去手術を行えば、高い確率で救命の可能性がありました。

裁判のイメージイラストこの事案につき、最高裁は、交通事故と医療事故のいずれもが被害者の死亡という結果を招いたとして、共同不法行為にあたると判断しています。

さらに、共同不法行為者とされた交通事故の加害者と医療事故を起こした医師は、被害者が受けた全部の損害を連帯して賠償する責任を負うとも判断されています。

この判断からすると、例えば、交通事故の加害者から、「医師が適切な治療をしていれば被害者は死亡することがなかったのだから、自分の賠償額は減額されるべき」という主張がなされても、この主張は認められないということになります。

 

京都地判 平成19年12月18日

入院のイメージイラスト被害者は交通事故で右大腿骨骨折を受傷しました。

その後院内感染でMRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)に感染しました。

交通事故被害者をMRSAに罹患した患者と同室させたことについて「MRSAに感染することは通常予想しえる」として交通事故と医療過誤の相当因果関係を認めました。

 

名古屋地判 平成18年11月7日

首を怪我した女性のイラスト被害者は交通事故で頚椎を損傷しました。

事故から6日後、頚椎損傷が原因の消化管出血による出血ショックで死亡しました。

被害者に緊急内視鏡検査をしなかった過失があること、交通事故と医療事故が連続しており時間が密接していること、被害利益が共通していることにより、共同不法行為責任を認めました。

 

共同不法行為を否定した例

大阪高判 平成19年8月31日

被害者は、交通事故により脳挫傷の傷害等と脳挫傷による高次脳機能障害の後遺障害を負い、転送された病院の入院期間中に病室の窓から地上に転落し、脊髄損傷等の傷害を負いました。

この事案では、裁判所は、交通事故による損害(脳挫傷と後遺障害)と医療事故による損害(脊髄損傷等)を区別できるから、共同不法行為は成立しないと判断しました。

 

東京地判 平成19年9月27日

裁判のイラスト被害者は、交通事故により左下腿骨及び両側肋骨の骨折の傷害を負い、固定術の約2年9ヶ月後、固定された左下腿に対する抜釘術を受けたところ、抜釘術の際に足底神経が刺激又は損傷され、左足底部の痛みが生じました。

裁判所は、交通事故と医療事故は、抜釘術が交通事故の約2年9ヶ月後にされたことや、交通事故による損害と抜釘術による損害を区別できるから、共同不法行為は成立しないと判断しました。

 

 

共同不法行為が成立するかどうかは、法律の専門家である弁護士の間でも意見が分かれる場合が多々あります。

加害者に損害賠償請求するにあたり、共同不法行為の成否についてお困りのことがございましたら、お気軽に当事務所の弁護士にご相談ください。

交通事故専門の弁護士が対応いたします。

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積極損害
   
執筆者
弁護士 鈴木啓太

弁護士法人デイライト法律事務所 パートナー弁護士

所属 / 福岡県弁護士会

保有資格 / 弁護士

専門領域 / 個人分野:交通事故を中心とした人身障害事件 法人分野:労働問題  

実績紹介 / 交通事故の相談件数年間300件超え(2019年)を誇るデイライト法律事務所のパートナー弁護士。交通事故分野において、他士業や整骨院、一般市民向けのセミナー講師も務めた。



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