交通事故の車を修理中、レンタカーの使用料は損害として認められる?
レンタカー等の代車使用料が損害として認められるためには、代車使用の必要性と代車を実際に使用したことの証明が必要となります。
代車を実際に使用したことについては、代車使用料の領収書などがあれば立証できます。
また、代車を使用できる期間、車種(グレード)などに制約があります。
代車使用の必要性
交通事故により車両が損壊し、使用できなくなったとき、車両の修理期間中や買い替え期間中、代車を利用することがあります。
代車使用料が損害として認められるためには、上記の通り、代車使用の必要性が肯定される必要があります。
代車の必要性は、車の用途等によって判断方法が分かれています。
営業用車両
営業用車両については、顧客の接待や会社役員の専用車として使用されていた場合も含め、原則として、代車の必要性は肯定されます。
裁判例では、顧客の送迎に使用していた事故車両(ロールスロイス)の他に、スポーツ車(ベンツ)を所有していたとしても、使用目的に照らして代車となりえないとして、代車の必要性を認めたものがあります(京都地判平成14年8月29日)。
代替車がなければ、休車損害が発生します。
休車損害の解説はこちらをご覧ください。
自家用車
自家用車については、事故車両が通勤や通学、日常の買い物に使用されていたとき、幼児や高齢者の送迎に使用していたなどの場合は、代車の必要性が肯定される傾向にあります。
他方、マイカーとして休日に使用していたとき、レジャーや趣味で使用していた場合は、他の事情がなければ、代車使用の必要性は否定される傾向にあります。
裁判例では、水産会社に勤務する被害者につき、勤務の性質上、早朝の通勤であり代車の必要性が認められたものなどがあります(横浜地判平成元年6月27日)。
代替車や代替交通機関がないこと
代替車や代替交通機関(電車等の公共交通機関)がある場合は、代車の必要性は否定されることが多いです。
裁判例として、被害者が事故車両以外に3台の自動車を所有していて、かつ、自動車を運転する家族と同居しているという事案で、住居地が駅や商業施設から離れていても、代車使用の必要性を認めなかったというものがあります(東京地判平成25年3月6日)。
もっとも、代替交通機関に関しては、代替交通機関の利用が可能であり相当であると認められるときに限り、代車の必要性が否定されます。
例えば、公共交通機関の利用では移動が不便であるという地域に居住している場合は、代替車使用は認められることになります。
代車の種類(グレード)
代車が損害と認められる場合、事故車両が高級外国車であれば、代車は同クラスの使用が認められるのでしょうか。
東京地判平成9年2月26日は、高級外国車に代車を認めるに足りる特別な事情がない限り、高級国産車の限度で代車料を認めました。
代車の使用期間
代車は、現実に修理や買い替えに要した期間のうち、相当な期間に限り認められます。
そして、その相当な期間は、事故車両の損傷の部位・程度、車種等により異なってきます。
一般論としては、修理の場合、1週間から2週間が相当な期間といえます。
もっとも、裁判例では、事故車両がロールスロイスで、部品がイギリスから到着するのを待って修理した場合に、108日間の代車使用料を認めたものがあります(京都地判平成14年8月29日)。
また、過失割合や買い替えの必要性に関し、被害者と加害者側(保険会社)の考え方が対立して時間が経過し、代車使用期間が長期化することがあります。
このような場合は、事案によっては、被害者側が一定程度負担することになります。
例えば、代車が130日間提供された事案で、被害者が調停による解決が困難であることを途中で認識することができたことを理由に、60日分は加害者、70日分は被害者がそれぞれ負担するとした裁判例があります(岡山地判平成7年1月31日)。