仕事中、同僚の運転する車で事故。保険金は支払われない?

執筆者:弁護士 北御門晋作 (弁護士法人デイライト法律事務所 弁護士)

仕事中の同僚間事故による従業員の怪我は、自賠責保険や使用者である会社が加入している共済からは保険金が支払われますが、任意自動車保険からの支払いはない場合があります。

同僚災害担保特約

同僚災害担保特約を付けていた場合には、仕事中の同僚間事故による従業員怪我について、保険金が支払われます。

個人所有の車については、ほとんどの場合に同僚災害担保特約が付されています。

そのため、仕事中のマイカー利用時の事故については、同特約によって任意保険から保険金が支払われる可能性があります。

 

 

任意自動車保険の免責事由

任意自動車保険の契約者や被保険者が交通事故によって法律上の賠償責任を負うとき、保険者である任意保険会社が保険金の支払いを免れることになる事実を免責事由といいます。

任意自動車保険の普通約款において、事故による被害者が加害者である運転手や被保険者と一定の関係にある場合、保険者である任意自動車保険会社は保険金の支払いを免責されることになっています。

同僚間の事故について、保険会社は被害者の損害を填補しないと免責事項を定めています。

任意自動車保険から支払いがないのは以下の場合です。

被保険者の業務に従事中の使用人の生命・身体を害した事故

被保険者の業務に従事中の他の使用人の生命・身体を害した事故

任意自動車保険から保険金が払われない理由は、被害者が被保険者の業務に従事しているうちに起きた事故(業務に従事中の事故)によって損害を受けた場合(業務災害)や、加害者も被害者も同じ使用者の業務に従事中の事故によって損害を受けた場合(同僚災害)は、労災によって損害が補填されるべきで、保険金の二重払いを防ぐという考え方に基づくからです。

なお、怪我をした被害者が被保険者の下請けの従業員であった場合、任意自動車保険から保険金が支払われます。

そのほかの任意保険の免責事由は主に次のとおりです。

 

  1. ①契約者や記名被保険者(※)などの故意によって事故が起きた事故による損害
    ※記名被保険者とは、保険契約の対象となる車を主に運転する人のことを言います。
  2. ②戦争、内乱、暴動などの異常な事態によって生じた損害
  3. ③地震・噴火、津波、台風、洪水、高潮などの自然災害によって生じた損害
  4. ④保険の対象となっている自動車を競技、曲技もしくは試験のために使用した場合、または、保険の対象となっている自動車を競技、曲技もしくは試験を行うことを目的とする場所において使用したことによって生じた損害
  5. ⑤次の者が被害者になった場合
  • 記名被保険者
  • 被保険自動車を運転中の者またはその父母、配偶者もしくは子
  • 被保険者の父母、配偶者または子

任意保険の免責事由は契約ごとに異なりますので、ご自身の保険契約書・保険約款をご確認ください。

 

 

自賠責保険の保険金

同僚の運転する怪我について、任意保険によって保険金が支払われなかった場合でも、自賠責による保険金の支払いはなされます。

上限額については以下のとおりです。

  • 傷害による損害の場合には、120万円
  • 後遺障害による損害の場合には、後遺障害の程度によって、75万円から4000万円
  • 死亡の場合は、3000万円

自賠責の保険金額の基準についてくわしくは、以下のサイトをご覧ください。

参考:国土交通省 自賠責保険ポータルサイト

 

 

使用者の責任

任意自動車保険から保険金が支払われなかったとしても、使用者である会社は民法715条本文の使用者責任と自動車損害賠償補償法3条の運行供用者責任を負います。

使用者責任

事故で怪我をした被害者は、会社に対して使用者責任による損害賠償請求ができます。

もっとも、使用者は加害者運転手の選任やその事業の監督について相当の注意をしていた時、その責任を免れるとされています(民法715条1項ただし書)。

しかし、使用者である会社が相当の注意をしていたとしても損害が生じたとされ、使用者である会社が免責された事例は、ほとんどありません。

運行供用者責任

運行供用者とは、事故を起こした車について運行支配を有し、運行利益を得ているものです。

自賠責法3条で運行供用者責任を負うとされています。

使用者である会社は、事故起こした車の運行を指示・制御すべき立場にあり、運行を通じて利益を得ています。

したがって会社は自賠責法3条の運行供用者にあたり、被害者に対して賠償責任を負います。

ちなみに、運行供用者責任は、被害者の生命・身体に対する損害についてのみ成立します。

使用者責任は被害者の財産である物の損害に対しては成立しますが、運行供用者責任は被害者の財産の損害に対しては成立しません。

 

 

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