交通事故の慰謝料|請求の仕方や相場をわかりやすく

監修者:弁護士 鈴木啓太 弁護士法人デイライト法律事務所 パートナー弁護士

交通事故に遭ったときに慰謝料その他の賠償金を請求する方法としては、

  • 示談交渉をする
  • 訴訟を提起する
  • 被害者請求をする

といった方法が考えられます。

いずれの方法も、弁護士に依頼して代理人になってもらって行うことができますし、被害者本人で行うこともできます。

ただ、十分な賠償金を得ようと思ったら、弁護士に依頼することが効果的です。

慰謝料の相場は、次のようになっています(弁護士基準による)。

  • 死亡した場合の死亡慰謝料
    ⇒ 2000万円 ~ 2800万円
  • 後遺症を負った場合の後遺障害慰謝料
    ⇒ 後遺障害等級によって110万円 ~ 2800万円
  • ケガをして入通院した場合の入通院慰謝料
    ⇒ 実際に入通院した期間による

交通事故に遭った場合、被害者の方には、治療方針の決定、家族や生活、仕事に関する対処など、様々な問題が降りかかります。

そうした中、賠償金の請求に関することも一人で担おうとすると、被害者の方にとって大変大きな負担になります。

しかも、残念ながら、被害者の方自身が賠償金に関する対応をすることは、必ずしも良い結果をもたらしません。

十分かつ適正な賠償金を得るためには、交通事故に詳しい弁護士に依頼することが大変重要になります。

今回の記事では、交通事故の慰謝料などを請求する方法、交通事故の慰謝料の相場、交通事故の慰謝料に関して押さえておくべきポイント(慰謝料の種類、算定基準など)、弁護士に慰謝料の請求を任せるメリットなどについて解説していきます。

交通事故の慰謝料請求に役立つ知識をまとめてありますので、ぜひ読み進めてみてください。

交通事故の慰謝料の請求方法

交通事故の被害に遭い、それによってケガをしたなど身体に直接被害があった場合、被害者は、加害者に対し、慰謝料を請求することができます。

慰謝料を請求する方法としては、主に以下のようなものがあります。

  • 弁護士に依頼して示談交渉する
  • 弁護士に依頼して訴訟を提起する
  • 自分で請求する
  • 被害者請求をする

それぞれの方法について簡単にご紹介します。

弁護士による示談交渉

慰謝料を請求する場合、まずは当事者間の合意によって解決できるよう、示談交渉を行います。

多くの場合、加害者は自動車保険(任意保険)に加入していますので、慰謝料に関する示談交渉は加害者側の任意保険会社との間で行います。

こうして任意保険会社と示談交渉を行う場合、弁護士に依頼して行う方が有利になります。

弁護士に示談交渉を依頼する主要なメリットには、

  • 被害者に有利な弁護士基準で賠償金を算定することができる
  • 示談交渉を任せてしまえることで、治療や生活の立て直しに専念できる

といったものがあります。

弁護士に交通事故慰謝料の請求を任せるメリットは、交通事故慰謝料請求を弁護士に任せるメリットで詳しくご紹介していますので、そちらもご覧ください。

 

弁護士による訴訟提起

交通事故での慰謝料等の請求は、多くの場合、示談交渉で決着します。

しかし、場合によっては、訴訟を提起して裁判をすることもあります。

裁判をする場合は、専門的な知識、経験が必要なので、弁護士に依頼する方が多いです。

弁護士に依頼して裁判を起こす場合、まずは、訴状を裁判所に提出します。

訴状は、弁護士が、被害者に話を聞き、病院や保険会社などからカルテなどの関連資料も集めて作成します。

訴状を提出したら、裁判所が期日を決めるので、期日に裁判所に赴いて手続きを進めます。

裁判への出席は基本的に弁護士が行います(証人尋問や当事者尋問、和解の際には、必要に応じて被害者ご本人にも出席していただきます)。

弁護士は、被害者との打ち合わせに基づいて、主張や証拠の提出をしていきます。

そのうち、多くのケースで、裁判所から和解を勧められます。

和解案に双方が納得できれば、裁判所で和解を成立させ、慰謝料の支払を受けることができます。

この場合、賠償金(和解金)は、和解から2週間〜1ヶ月程度で支払われることが多いです。

和解ができなければ、証人尋問、当事者尋問などを経て、判決が下されます。

以上の流れを簡単に図にすると、以下のようになります。

交通事故の慰謝料請求における弁護士による訴訟提起の流れ

 

自分で請求する

弁護士に頼まずに、被害者が自分で慰謝料等の請求をすることも可能ではあります。

しかし、この方法はデメリットが多く、あまりお勧めできません。

主なデメリットとしては、以下の2つがあります。

  • 弁護士基準での賠償を求めることが難しい
  • 保険会社との交渉も治療方針も自分で決めなければならず、負担が大きい

まず、ご自身で保険会社と交渉すると、被害者にとって最も有利な弁護士基準での賠償を求めることが難しくなります。

先ほどもご説明しましたが、弁護士基準で算定した賠償額を獲得するためには、弁護士に依頼して交渉することが大変重要です。

被害者自身で弁護士基準を用いた賠償額算定をしてみても、保険会社が受け入れてくれることはまずありません。

弁護士基準とそれ以外の基準での算定額には、場合によっては何倍もの開きがあることもありますので、弁護士費用を支払ってでも弁護士に依頼した方が最終的に得になる可能性が十分あります。

それに、交通事故の場合、自動車保険に付帯した弁護士費用特約を使うことができることが多く、その場合、実質的な負担なしに弁護士に依頼することができますので、なおさらお得になります。

なお、裁判を起こした場合は、弁護士を付けていなくても弁護士基準(裁判基準)での請求をすることができます。

ただ、裁判の手続を進めるには専門的な知識・経験が必要になりますので、ご自身で訴訟をすることはお勧めできません。

さらに、ご自身で交渉するとなると、保険会社との交渉方針も治療方針も全て自分で決めなければならず、負担が大きくなります。

ただでさえ、交通事故に遭ってケガをしたとなると、生活や家族にも影響が出ますし、医者と話し合って自分の身体のために良い治療方針を考えなければならないという大きな負担が生じます。

そこに、賠償金の請求のことまで考えた治療方針決定、保険会社との交渉までも自分で一手に行うこととするとなると、さらに大きな負担がのしかかってきます。

それに、賠償金の請求に明るくない方が自分一人で治療などを進めていると、思わぬところで保険会社とトラブルになることも十分あり得ます。

「いまどき、インターネットで色々調べることができるのだから大丈夫」と思われる方もおられるかと思います。

しかし、交通事故に関しては、それぞれのケースによって大きく事情が異なりますので、インターネットで得た情報だけでは対応するのが難しくなってくる場面があります。

例えば、タクシー代を加害者に請求するには、「タクシーを利用しなければならない事情」が必要であるとされています。

このような一般論を読む限りでは、一般の方でも理解しやすいかと思います。

ところが、いざ、自分の場合に「タクシーを利用しなければならない事情」があると認められるかどうかを考えるとなると、大変難しくなります。

被害者自身としては、「タクシーを利用しなければならない」と思う理由を挙げることができるのだから大丈夫、と思ったとしても、それが実務上認められる理由かは、多数の裁判例、書籍などに当たらなければわからないことがあります。

似たような裁判例を見つけられたから大丈夫、と思っても、全文を読んでみれば背景事情が異なっており、自分の場合には当てはまらない裁判例であった、ということもあります。

逆に、被害者自身が、「この程度の事情ではタクシーを利用しなければならないとはいえないかも」と思う場合でも、専門家がしっかりと説明すれば認められることもありますし、全額でなくとも一部支払いを受けられることもあります。

このように、賠償金の請求に関する判断は専門家でないと難しいことがあります。

一般の方が自分で判断しようとすると、思わぬところで不利益を被ったり、トラブルを起こしてしまったりしかねません。

専門的な知識や経験が豊富な保険会社に説得されてしまい、不利な内容で納得させられてしまう可能性もあります。

交通事故に遭った場合は、速やかに弁護士に相談し、一緒になって対応に当たることを強くお勧めします。

 

被害者請求について

交通事故による賠償金については、被害者請求という手続きをとることもあります。

被害者請求とは、交通事故の被害者が、加害者が加入している自賠責保険の保険会社に対して、直接賠償金を請求することをいいます。

被害者請求で得られる賠償金の額は、自賠責から支払われるもののみになります。

被害者請求で得られる賠償金の額

被害者請求をする必要があるケースは、決して多いわけではありません。

多くのケースでは、加害者が加入している自動車保険(任意保険)の保険会社と被害者の間で示談交渉を行うなどして、任意保険会社から被害者に全額の賠償金が支払われます。

その後、加害者側の任意保険会社から、加害者が加入している自賠責保険の保険会社に、自賠責から支払われる保険金額を請求することとなります(加害者請求)。

この場合の被害者と各保険会社の関係を図にすると、下の図のようになります。

交通事故の被害者と各保険会社の関係図

この方法であれば、被害者は加害者の任意保険会社とだけ示談交渉をすればよいので、手間が少なく済みます。

自賠責に請求をする際に必要となる診断書などの書類も、加害者の任意保険会社が用意してくれるので、その点でも手間を省くことができます。

一方、被害者請求をすると、自賠責で支払われる部分について、加害者の自賠責保険会社に対して被害者から直接請求することになります。

この場合の被害者と各保険会社の関係を図にすると、下の図のようになります。

被害者請求の場合の被害者と各保険会社の関係図

被害者請求をするのは、主に次のような場合になります。

  1. ① 早く賠償金の支払いを受けたい場合
  2. ② 加害者の任意保険会社が一括対応を拒否している場合
  3. ③ 加害者の任意保険会社から治療費の支払いを打ち切られた場合
  4. ④ 加害者が任意保険に加入していない場合
  5. ⑤ 後遺障害等級認定の申請をする必要がある場合
①早く賠償金の支払いを受けたい場合

生活が苦しいなどの理由から、少しでも早く賠償金を受け取りたい、という場合があります。

ところが、加害者の任意保険会社から賠償金の支払いを受けられるのは、示談が成立した後になります。

治療が長引いた、過失割合や示談金額などで争いがある、といった理由で示談交渉が長引いてしまうと、賠償金の支払いを受けられるまでに時間がかかり、生活に支障が出てくる方もおられます。

そのような状況で困っている場合には、被害者請求をすることが考えられます。

被害者請求であれば、示談の成立や治療の終了を待たず、比較的早く賠償金を受け取ることができます。

②加害者の任意保険会社が一括対応を拒否している場合

多くの場合、加害者の任意保険会社は、被害者が通う病院に直接治療費を支払う一括対応を行います。

一括対応がとられれば、被害者は、窓口で治療費を負担しなくても治療を受けることができます。

しかし、事故によるケガであるか疑われている場合や、被害者の過失も大きいと考えられる場合などに、加害者の任意保険会社が一括対応を拒否することがあります。

このような場合には、被害者請求等をして早期に賠償金を得ることにメリットがあります。

③加害者の任意保険会社から治療費の支払いを打ち切られた場合

加害者の任意保険会社によって一括対応が取られていたとしても、治療終了前に一方的に打ち切られてしまうこともあります。

そうなると、被害者は、病院の窓口で治療費を負担しなければならなくなります。

このようなことになった場合に被害者請求を利用すれば、自費で負担した治療費について、傷害の限度額(120万円)を超えない範囲で自賠責から支払いを受けられる可能性があります。

しかも、自賠責で、「症状固定日(これ以上治療をしても症状が良くならない状態になった日)は保険会社の治療費打ち切りよりも後だ」と認定されれば、加害者の任意保険会社も、自賠責が認定した症状固定日を前提として交渉に応じる可能性が高くなります。

治療費の打ち切りが行われた場合には、被害者請求を活用することを考えましょう。

当事務所でも、治療費の打ち切りに遭った被害者の方へのサポートを行っております。

詳しくは以下のページをご覧ください。

④加害者が任意保険に加入していない場合

加害者が任意保険に加入していない場合には、加害者に直接損害賠償を請求することになります。

ただ、こうした場合、示談を進めるのが難しくなる場合が多く、加害者に十分な賠償をできるだけの経済力がないことも多いです。

そこで、一定の賠償金を確保するために、自賠責に被害者請求をすることがあります。

⑤後遺障害等級認定の申請をする必要がある場合

被害者に後遺症が残っている場合、後遺障害等級認定の申請をします。

後遺障害等級認定の申請は、加害者側の任意保険会社が行うことも多いです(加害者請求)。

しかし、後遺障害等級認定の申請をより有利に進めるためには、被害者請求を行い、被害者自ら後遺障害等級認定の申請を行う方が良いです。

これは、被害者請求をした場合の方が、被害者にとって有利な資料を補充して提出することができ、被害者の説明や主張も十分に提出できることから、後遺障害等級認定の結果もよりよくなる可能性があるためです。

このように、被害者請求を行うことで、被害者にとって有利な結果を得られる場合もあります。

ただ、被害者請求では、被害者側で用意しなければならない書類も多くなりますし、十分に実情を訴えるためにどのような資料を提出すればよいかについての専門知識が必要になります。

被害者請求で納得できる結果を得るためには、示談の場合と同様、弁護士に依頼する方がよいでしょう。

被害者請求の詳しい説明、メリット・デメリット、手続きの流れなどについては、次のページをご覧ください。

 

 

交通事故の慰謝料請求の手続

交通事故の慰謝料請求の流れ

交通事故の慰謝料を請求する際の手続きの流れは、次の図のようになります。

交通事故の慰謝料請求の流れ

それぞれの項目について解説します。

事故発生

交通事故を起こしてしまったら、必ず警察に届け出ましょう。

警察に届け出をしていないと、後々事故証明など必要な書類を準備できず、賠償金を請求できなくなる可能性もあります。

事故について届け出ないこと自体にも、罰則が科されてしまいます。

病院へも、ケガをしている可能性が少しでもあれば、なるべく早く行きましょう。

軽いケガだから、ケガをしている様子はないから、と病院を受診せずに済ませてしまうと、後々大きなケガがあったことが分かっても、「事故直後の検査結果もないから事故が原因のケガだとはっきりしない」「後に他の原因でケガをしたのではないのか」と捉えられてしまい、慰謝料や治療費を払ってもらえなくなってしまう危険があります。

治療

交通事故でのケガがあった場合は、病院で治療を行います。

前述のとおり、治療費については、加害者の任意保険会社から病院に直接支払う一括対応が取られることが多いです。

この一括対応が打ち切られた場合は、治療自体をそこで終了するか、治療を続け、後に治療費を加害者側に請求するかの方針決定が必要となります。

こうした方針決定をする際には、交通事故に詳しい弁護士に相談できると安心です。

治癒・症状固定・死亡

ケガが治った(治癒した)、治療をこれ以上続けても症状が良くならない段階に達した(症状固定)、又は不幸にして被害者が亡くなられた、となると、治療が終了します。

治療が終了したら、本格的に示談交渉を開始します。

ただし、後遺症が残った場合は、次の後遺障害等級認定に進む必要があります。

後遺障害等級認定

後遺症が残った場合は、自賠責に申請し、後遺障害等級認定を受けることになります。

この後遺障害等級が何級になるかによって、後遺障害慰謝料や逸失利益の額に大きな違いが生じてきます。

後遺障害等級認定では、後遺障害診断書に適切な内容を記載してもらうことが大変重要になります。

適切な後遺障害診断書を作成してもらうには、弁護士とも相談し、医師と十分に話し合うことが重要になります。

当事務所では、後遺障害診断書に何を記載してもらうかに関するアドバイスも提供しております。

詳しくは、以下のページをご覧ください。

示談交渉

治療が終了し、後遺障害等級も決まったら、加害者側の任意保険会社との間での示談交渉を本格的に開始します。

この際、加害者側から示談案を提示されることが多いのですが、これは、必ずしも被害者にとって十分な内容にはなっていませんので、注意が必要です。

「保険会社が出してきた金額だから、妥当なものになっているだろう」と考える被害者も多いのですが、実際にはそうではありません。

こうした示談案は、任意保険会社が用いる任意保険基準又は自賠責の賠償金算定で用いられる自賠責基準で算定されることがほとんどで、最も適切かつ高額な賠償額となる弁護士基準より低額になっていると考えた方が良いのです。

十分な補償を受けるためには、被害者自身も弁護士に依頼して、示談交渉を行いましょう。

示談成立又は訴訟提起

示談について合意ができれば、示談成立とし、賠償金を受け取ります。

保険会社と示談が成立した場合には、免責証書、承諾書といった題目の書面が送られてきます。

これらの書面に署名押印して保険会社に返送してから、1週間程度で賠償金が振り込まれます。

示談について合意ができなければ、訴訟を提起し、裁判で決着を着けることになります。

裁判になれば、弁護士基準と同一の基準(裁判基準)で賠償額が算定されることになります。

 

交通事故の慰謝料請求に必要な書類

交通事故の慰謝料を請求する際に必要となる書類には、主に以下のものがあります。

全て必要というわけではなく、必要に応じて準備する必要があります。

交通事故自体に関するもの
交通事故証明書 交通事故の事実を確認したことの証明書。自動車安全運転センターから発行されます。取得するには、事故時に警察に届出をしていることが必要になります。
交通事故証明書に「人身事故」と記載されていない場合は、次の人身事故証明書入手不能理由書が必要になります。
人身事故証明書入手不能理由書(交通事故証明書に「人身事故」との記載がない場合) 事故当時にケガがあると思っておらず、物損事故として届け出てしまった場合などに、人身事故証明書入手不能理由書を提出します。
人身事故証明書入手不能理由書には、当事者、事故時の内容、届出をした警察署、人身事故扱いの交通事故証明書を入手できない理由などを記載します。
実況見分調書 人身事故が発生した場合に警察官が作成します。写真とともに、事故現場、事故車両の状況などが記載されています。
事故発生状況報告書 被害者請求の際に必要となります。書式は保険会社から渡されます。
被害者の方で、必要事項を記入して作成します。
ケガに関する必要書類
診断書 かかりつけの医師に、ケガの状態、治療経過、入通院期間などを記載した診断書を作成してもらいます。
一括対応が取られていた場合は、加害者の任意保険会社が既に取得している可能性がありますので、確認してみましょう。
診療報酬明細書 入通院時の診療報酬点数、治療の内容、薬剤の処方などが記載されています。
一括対応が取られていた場合は、加害者の任意保険会社が所持している可能性がありますので、問い合わせてみましょう。
そうでない場合は、病院に作成を依頼することになります。
損害に関する書類
通院交通費明細書 通院時に利用した公共交通機関の料金、自家用車のガソリン代、タクシー代などを記入します。
保険会社から書式が送られてきます。
タクシー代・駐車場代の領収証 タクシー代・駐車場代の請求には領収証が必要です。
休業損害証明書 休業日数、実際の休業日の日付、事故前の収入などを記載します。
会社員の場合は、勤務先の会社に記入してもらいます。
確定申告書・収支内訳書・青色申告決算書の写し 被害者が自営業者の場合、休業損害、逸失利益の算定のため、前年度の確定申告書等の写しを提出します。
後遺障害に関する書類
後遺障害診断書 後遺症の症状などに関する診断書です。
後遺障害等級認定申請の際に重視される書類ですので、弁護士と相談しつつ、適切な書き方としてもらえるよう医師と話をしましょう。
物損資料 事故車両の事故後の状況などに関する写真や資料。事故の激しさを伝えることで、ケガの大きさについてもイメージを持ってもらいやすくなります。
レントゲン、CT、MRIなどの画像 ケガについて検査をした際の画像。病院に開示を請求します。一括対応が取られている場合は、加害者の任意保険会社に請求します。
カルテ 診療経過、検査結果、看護記録など。病院(一括対応が取られている場合は加害者の任意保険会社)から開示を受けて提出します。
被害者の陳述書 事故状況、治療中の経過、後遺症の症状、生活への影響などについての被害者の説明をまとめます。
支払請求書 保険会社から書類が送られてくるので、必要事項を記入して提出しましょう。
印鑑証明書 被害者の印鑑証明書。

 

交通事故の慰謝料請求にかかる費用

実費

裁判によって交通事故の慰謝料等を請求する場合、実費として、

  • 裁判所に納める申立手数料、郵便費用

が必要になります。

申立手数料は請求額によって変わりますが、交通事故(被害者1人)の場合、数万円~35万円程度となることが多いです。

郵便費用は、数千円~数万円程度です。

郵便費用は、原告と被告の人数、訴訟代理人の有無などによって変わってきます。

示談交渉や被害者請求で慰謝料を請求する際にも、郵便料金、通信費などの実費が発生してきます。

弁護士費用

弁護士に相談・依頼するには、弁護士費用を支払う必要があります。

弁護士費用としては、次のようなものが必要になります。

  • 相談料 30分5000円程度
    弁護士に示談交渉などの依頼をせず、法律相談のみを利用した場合に発生します。
  • 着手金 10万円程度~
    弁護士に示談交渉・訴訟提起などを依頼した場合に、最初に支払うことになります。
  • 報酬金 回収額の1割程度~
    弁護士に依頼をした場合に、賠償金を得られることが決まった後に支払います。

これらのうち、相談料については、自治体や弁護士会、法テラスなどが行っている無料法律相談を利用し、負担を抑えていくことが可能です。

法律事務所でも、初回の相談は無料としているところが多くあります。

さらに、交通事故の場合、自分が加入している自動車保険(任意保険)に弁護士費用特約が付いていれば、弁護士費用を実質的に負担することなく済ませることができます(上限額の設定あり)。

そのため、交通事故の被害者の方は、気軽に弁護士への依頼をすることができるようになっています。

一度ご自身の保険をご確認ください。

以下のページでは、当事務所での弁護士費用について、弁護士費用特約がある場合、ない場合に分けて詳しくご説明しております。

合わせて読みたい
弁護士費用

 

 

交通事故の慰謝料請求のポイント

交通事故の慰謝料には3つの種類がある

交通事故の慰謝料には、入通院慰謝料(傷害慰謝料)、後遺障害慰謝料、死亡慰謝料の3種類があります。

交通事故の慰謝料には3つの種類がある

それぞれについて簡単に説明します。

入通院慰謝料(傷害慰謝料)

入通院慰謝料(傷害慰謝料)とは、交通事故によって負傷し入通院した場合に発生する慰謝料です。

ここでいう「傷害」には、身体的に負傷した場合だけでなく、精神的・心理的に疾患が生じた場合も含まれています。

入通院慰謝料は、実際の総治療期間や入院日数・通院日数で計算することになります。

そのため、「全治〇か月」などと診断を受けていても、実際にそれだけの期間入通院しなければ、入通院慰謝料はもらえません。

だからといって、無駄に通院回数を増やしても有利にはなりません。

むしろ、医師に指示された以上に通院してしまうと、後に保険会社から、「無駄に通院した分について立替払い(一括対応)した治療費は負担できないので、最終的な賠償金額から差し引く」と言われてしまうという不利な結果を招いてしまう可能性があります。

適切な入通院慰謝料(傷害慰謝料)を請求するためには、

  • 早急に病院に行く
  • 早期に精密な検査を受ける
  • 医師の指示に従って継続して治療を行う
  • 弁護士に依頼して弁護士基準での慰謝料を請求する

といったポイントを押さえることが重要です。

こうしたポイントについては、以下のページで詳しく解説しております。

入通院慰謝料の算定表など、入通院慰謝料に関する詳細についてより深く知りたい方は、以下のページをご覧ください。

後遺障害慰謝料

後遺障害慰謝料は、交通事故により負傷し、治療をしてもこれ以上良くなる見込みがない痛みなどの症状(後遺症)が残存した場合などに支払われる慰謝料です。

後遺障害には、その症状(後遺症)の程度により後遺障害等級が定められています。

後遺障害等級を何級にするかについては、損害保険料算出機構に属する自賠責保険調査センター調査事務所という機関が認定を行っています。

後遺障害等級には、1級から14級までの区分があります(1級が最も症状が重いものであり、そこから等級の数字が上がるにつれて症状が軽くなります)。

例えば、視力障害に関しては、事故によって両目が失明した場合には1級、片目の視力が0.6以下になった場合には13級となります。

後遺障害慰謝料の具体的な金額をお示しすると、以下の表のようになっています(弁護士基準の場合)。

弁護士基準の場合
第1級 2800万円
第2級 2370万円
第3級 1990万円
第4級 1670万円
第5級 1400万円
第6級 1180万円
第7級 1000万円
第8級 830万円
第9級 690万円
第10級 550万円
第11級 420万円
第12級 290万円
第13級 180万円
第14級 110万円

後遺障害慰謝料については、以下のページでも解説しております。

死亡慰謝料

死亡慰謝料は、交通事故により死亡した場合に発生します。

死亡慰謝料は、亡くなった方の立場によって金額が変わってきます。

例えば、世帯の収入源となっている方(一家の支柱)が交通事故で亡くなった場合には、2800万円程度の慰謝料が目安となります。

これに対して、一家の支柱ではない人(母親や配偶者)が被害者の場合は2500万円、独身の方や子どもの場合には、2000万円〜2500万円が目安とされています。

もっとも、これらの金額は、あくまで「目安」に過ぎず、具体的な事情によって変動します。

例えば、裁判例では、娘が9歳の時に離婚し、以降娘が17歳になるまで扶養してきた兼業主婦(49歳)が死亡した事案については、本人分の慰謝料2600万円、娘の慰謝料分400万円、合計3000万円が認められています(東京地判平成17年7月12日交民38.4.938)。

以上のように、事案によっては、認められる死亡慰謝料の額が目安と異なることもあります。

さらに詳しい説明については、こちらをご覧ください。

交通事故の場合に支払われる慰謝料については、以下のページでさらに詳細に解説しております。

 

交通事故では慰謝料以外も請求できる

交通事故に遭った場合に加害者に請求できるのは、慰謝料だけではありません。

他にも、

  • 休業損害
  • 逸失利益(死亡した場合、又は後遺症が残った場合)
  • 積極損害(治療費など)

についても賠償するよう請求することができます。

休業損害は、交通事故で負ったケガによって休業することとなり、減収となった損害のことをいいます(有休を使用した場合でも、休業損害があったと認められます。)。

休業損害の算定方法などについての詳細は、以下のページをご覧ください。

逸失利益は、後遺障害が残ったり死亡したりした場合に発生する、将来の収入が減ってしまう、又は無くなってしまうという損害のことです。

逸失利益の算定方法は、以下のページでご紹介しています。

積極損害とは、ケガをしたことにより、被害者が支払うこととなった支出のことです。

治療費、入院雑費、通院交通費、バリアフリーのためのリフォーム費用、弁護士費用などが積極損害に当たります。

他にも、積極損害に当たる費用は多数あります。

積極損害に関する詳しい説明、他の種類の積極損害の説明については、以下のページをご覧ください。

交通事故に遭った場合に請求できる費目について全般的な説明は、以下のページにもございます。

 

交通事故の賠償金は弁護士基準を請求する

交通事故の賠償金を算定する基準には、弁護士基準、任意保険基準、自賠責基準の3つがあります。

交通事故の賠償金の3つの算定基準

弁護士基準は、弁護士が示談交渉などの際に用いる基準となっています。

裁判時に用いられる基準とも合致するので、裁判基準とも呼ばれます。

任意保険基準は、自動車保険(任意保険)を提供している保険会社が用いる基準で、各社の内部で決められているものです。

自賠責基準は、自賠責からの賠償金の算定の際に用いられます。

交通事故の賠償金は、これらの基準のうちの弁護士基準で請求することが重要です。

それは、弁護士基準は、他の算定基準よりも被害者に有利なものとなっているからです。

例えば、死亡慰謝料は、自賠責基準では被害者1人につき400万円~1350万円(慰謝料請求権者の数、被扶養者の有無によって異なる)ですが、弁護士基準では2000万円~2800万円となっており、2~5倍程度の開きがあります。

自動車保険会社が用いる任意保険基準もありますが、これは、自賠責基準よりは高くなることが多いですが、弁護士基準より高くなることはまずありません。

このように、弁護士基準で算定して得られる賠償金は最も被害者に有利になりますので、ぜひとも弁護士基準で算定して請求をしたいところです。

しかし、被害者自身が弁護士基準による請求をしてみても、示談交渉で相手に認めさせることは大変難しいです。

弁護士基準は、専門家でなければ使いこなすことが困難ですので、専門知識のない被害者が「弁護士基準で算定した」と主張して賠償金を請求してみても、信用してもらえず、主張を受け入れさせることが難しいのです。

弁護士基準によって賠償金を請求するためには、弁護士に依頼することが必要になりますので、示談交渉を行う場合には弁護士を探して依頼するようにしましょう。

 

 

交通事故慰謝料請求で注意すべきこと

通院は医師の指示に従って

治療中は、医師の指示に従って通院を続けましょう。

途中で通院を止めてしまうと、その間の症状の経過についての証拠(カルテ、検査結果等)が残らなくなってしまい、後々後遺症が残ってしまった場合に、その後遺症が事故によるものであることを立証することが難しくなってしまいます。

通院回数についても、医師の指示に従いましょう。

通院回数が少なすぎても多すぎても、後々賠償金を決める際に良くない影響が及んでしまいます。

 

整骨院に通う場合の注意点

整骨院にも通う場合、注意すべき点があります。

まずは、病院にも定期的に通い、医師の診察を受けることです。

病院での診察、検査の記録が残らなければ、整骨院通いの必要性・相当性や、後遺症と事故の因果関係についての証拠を残せなくなってしまうため、慰謝料等の請求の際に不利になってしまうからです。

次に、加害者側の任意保険会社にも整骨院に通うことを連絡し、できれば承諾をもらっておくことです。

そうすれば、整骨院の施術費についても、一括対応で保険会社に負担してもらえる可能性が高まります。

ただし、承諾をもらっていたとしても、後日、「やはり整骨院通いの全部又は一部は負担できない」などと主張されることもありますのでご注意ください。

整骨院に通う際の注意点については、以下のページで詳しく解説しております。

 

時効の成立に注意!

交通事故の慰謝料等の賠償金を請求する際には、時効がいつ成立するかに注意しましょう。

加害者への賠償金の請求権の時効は、以下のようになっています。

物損事故の場合 事故翌日から3年
傷害のみの人身事故の場合 事故翌日から5年
*ただし、令和2年4月1日までに、民法改正前の「事故翌日から3年」の時効が完成していた場合は除く。
後遺障害が残った場合 症状固定日の翌日から5年
*ただし、令和2年4月1日までに、民法改正前の「症状固定日の翌日から3年」の時効が完成していた場合は除くただし、治療費、入通院慰謝料、休業損害等傷害に関する費目については、「傷害のみの人身事故の場合」のとおり
死亡した場合 死亡日の翌日から5年
*ただし、令和2年4月1日までに、民法改正前の「死亡日の翌日から3年」の時効が完成していた場合は除く

*自賠責への被害者請求権・共済請求権の時効は、人身事故の場合も含めて、事故翌日から3年となっています。

上記の期間を過ぎてしまうと、賠償金の請求をすることが難しくなります。

なお、ひき逃げのように加害者が分からない場合、加害者が判明した時から3年で時効となることもあります。

自分が加入している保険会社に保険金を請求する場合は、以下のように、時効が成立するまでの期間は上の場合より短くなります。

傷害を負った場合(傷害分の費目) 治療終了の翌日から3年
後遺症がある場合(後遺障害分の費目) 症状固定日の翌日から3年(傷害分の費目については治療終了の翌日から3年)
死亡した場合 死亡日の翌日から3年

時効の成立が迫っている場合には、急いで裁判を提起するなど時効の完成を阻止する措置を取る必要があります。

交通事故の損害賠償請求権の時効に関する詳しい説明は、以下のページに掲載しておりますので、ご参照ください。

 

スマホで簡単!交通事故の賠償金を計算

ここまで、交通事故の慰謝料の請求方法、相場などについて解説してきました。

しかし、慰謝料にも3種類(入通院慰謝料、後遺障害慰謝料、死亡慰謝料)ある上、算定基準も様々あり、専門家でない方にとっては、必ずしも簡単に見積もることができるものではありません。

さらに、慰謝料以外にも逸失利益、休業損害などを計算する必要もあり、これもまた煩雑です。

そこで、当事務所では、交通事故の賠償金を手軽に見積もることができる交通事故賠償金計算シミュレーターをご用意しました。

このシミュレーターでは、収入、入通院期間、休業日数、後遺障害等級、過失割合などの必要事項を入力すると、以下の項目についての一応の算定結果をご覧いただくことができます。

賠償金の総額
内訳 傷害(入通院)慰謝料
後遺障害慰謝料
死亡慰謝料
休業損害
逸失利益

算定結果はその場ですぐにご覧いただくことができ、後日当事務所からご連絡することはございません。

メールアドレスなどの個人情報を入力する必要もございません。

どなたも無料でご利用いただけますので、興味がおありの方は、以下のリンクからぜひ一度お試しください。

 

 

交通事故慰謝料請求を弁護士に任せるメリット

弁護士に交通事故慰謝料請求を任せるメリットは、主に以下の4点です。

  • 専門的な知識・経験が豊富
  • 被害者に有利な弁護士基準で賠償金を算定できる
  • 示談交渉のポイントを押さえるためのアドバイスをしてくれる
  • 示談交渉を任せてしまうことができる

これらの点についてご説明していきます。

専門的な知識・経験が豊富

示談交渉の相手方である保険会社は、交通事故の慰謝料の算定について豊富な経験、知識を有しています。

そのため、素人である被害者本人では満足な交渉ができないことが多くなってしまいます。

しかし、弁護士であれば、交通事故による損害賠償について専門的な知識・経験を有していますので、保険会社とも十分に渡り合い、被害者にとってより有利な内容での示談を成立させることができます。

 

被害者に有利な弁護士基準で賠償金を算定できる

賠償額は、上でご説明したとおり、弁護士基準、任意保険基準、自賠責基準のいずれかに基づいて算定されていきます。

これらのうちどの基準を用いるかによって、賠償額に大きな違いが出てしまいます。

実際、保険会社から最初に提示される示談案は、多くの場合、被害者にとって不利な内容となっていますが、これは、示談案を算定する基準が、被害者にとって不利な任意保険基準となっているからです。

被害者にとって最も有利な基準は弁護士基準(裁判基準)ですが、これを用いた賠償金額を得るためには、次にご説明するとおり、弁護士に交渉を依頼する必要があります。

弁護士基準による賠償金を獲得するには、弁護士への依頼が必須!

「被害者が自分で弁護士基準について調べて、自分で賠償額を計算して交渉すればよいのでは?」と思われる方もおられるかもしれません。

しかし、そのようにして賠償額を算定しても、専門家ではない被害者自身で交渉を行っていては、相手方である保険会社が納得してくれることはまずありません。

弁護士基準は、一見すると、算定表などの客観的な基準をそのまま当てはめれば簡単に賠償金が算定されるように見えますが、実は、それぞれのケースの個別の事情を勘案し、裁判例を参照したり、証拠を整えたりして、最終的な賠償金額を調整していく必要があります。

そのため、弁護士であっても、それぞれの事案ごとに毎回、相応の手間と時間をかけて賠償金を算定しているのです。

このように、弁護士基準による賠償金の算定には、それ自体に専門性が必要となるので、一般の方では適切な賠償金を算定することは大変困難です。

保険会社もそのことが分かっているので、被害者自身が「弁護士基準で算定したらこうなった」と主張して示談金額の増額を求めてきても、容易に信用してくれず、話合いに応じてくれないのです。

弁護士基準を用いて適切かつ高額な賠償金額を得ようとすれば、被害者も、ご自身で弁護士に依頼し、代理人となってもらう必要があります。

 

示談交渉のポイントを押さえるためのアドバイスをしてくれる

交通事故の示談交渉では、不用意なことをしてしまうと協議が難航してしまいます。

例えば、次のようなことがあると、示談交渉が難航することがあります。

医者が指示した回数よりも多く(又は少なく)通院する

通院回数が多すぎる場合、保険会社から、「必要以上に通院した分については、治療費を負担できない」と言われてしまう可能性があり、トラブルのもとになります。

逆に、通院回数が少なすぎる場合も、「入通院慰謝料を減額する」と言われ、もめごとの種になる可能性があります。

通院の回数、頻度は、医師に指示に従うようにしましょう。

「大したケガじゃない」と思って事故直後病院に行くことをしない

交通事故でケガをしているにもかかわらず、「大したケガじゃなさそうだから」と、病院に行かずに済ましてしまう方が、たまにおられます。

しかし、事故直後に病院で診察や画像検査(レントゲン、CTスキャン、MRI)などの検査を受けていないと、後になって「実は大きなケガが潜んでいた」ということが分かった場合に、事故と因果関係のあるケガであることを裏付ける証拠を用意することができなくなってしまいます。

そうなると、事故によるケガがあると主張する被害者と、加害者側の保険会社の間で、ケガを交通事故によるものであると認めるかどうかで摩擦が生じ、スムーズに交渉が運ばなくなってしまいます。

病院に行かず、保険会社に連絡することもないままに、整骨院にばかり通ってしまう

軽いけがだと、整骨院に通うことを選択する方も多くおられます。しかし、整骨院通いは、示談交渉の際にトラブルを招きやすくなります。

病院で診察を受けるのと比べると、整骨院への通院は、必要性、相当性に異議を唱えられやすいのです。

トラブルにならないようにするためには、病院を受診した際に医師から整骨院に通院するようにとの指示を得ておく、加害者の任意保険会社にも事前に連絡し、了承を得ておく、整骨院に通っている間も病院への通院を続ける、といったポイントを押さえておく必要があります。

先進的な治療・器具を用いる

医師によっては、一般的に普及する前の先進的な治療や器具を患者に勧めることもあります。こうした治療や器具は、症状の改善には役立つかもしれません。

しかし、示談交渉の際には、こうした治療等の費用をどちらが負担するかで争いになりがちです。

先進的な治療等は、まだ一般的には有効性がはっきりしていないことも多い、通常の治療等で十分なのに余計な出費を重ねているとみられてしまう、といったことから、費用を加害者側と被害者側のどちらで負担するか、争いになりやすいのです。

先進的な治療、器具等を試したい場合は、事前に保険会社とも話をしてみるか、自腹で負担することを覚悟しておくかしましょう。

通院にタクシーばかり使ってしまう

被害者の方の中には、「バスや電車は不便だし、ケガをしてもいることだから」と、通院の際にタクシーを多く利用する方がおられます。

こうしたタクシー代は、自腹で支払うつもりであれば、何も問題はありません。

しかし、このタクシー代を加害者側に負担させようとすると、示談交渉時にトラブルになりかねません。

公共交通機関を使った場合には、必要となった交通費を実費で加害者に負担させることができるのですが、タクシー代となると、タクシーを利用することに必要性・相当性が認められる場合でなければ全額負担させることはできないため、この点について争いになってしまうのです。

以上のほかにも、ケースごとに気を付けておくべきポイントが存在します。

一般の方では、こうしたポイントに気づかず、思わぬところで保険会社とトラブルになってしまいかねません。

事故後なるべく早いうちから弁護士に相談していれば、弁護士から治療中の行動などについてのアドバイスももらえますし、対応に迷った時には担当弁護士にすぐ相談することもできますので、示談交渉時にトラブルが起こる可能性を下げることができます。

示談交渉の概要、示談交渉をスムーズに行うポイントについては、以下のページでも解説しております。

 

示談交渉を任せてしまうことができる

弁護士に依頼するメリットとしては、示談交渉を任せてしまえる、という点も大きいです。

交通事故に遭った被害者にとって、ケガの治療や日常生活の維持だけでも大変な負担です。

そこに、通院中の注意点を自分で調べて対応する、保険会社と直接やり取りする、といった負担が加わってくると、被害者はさらに大変になってしまいます。

事故後早いうちに弁護士に依頼することができれば、治療中の注意点についてもアドバイスをしてもらえますし、保険会社との示談交渉も代わりに行ってもらうことができます。

そうすれば、被害者の負担は大きく減少し、治療や日々の生活に集中することができるようになります。

交通事故に遭った場合は、なるべく早く、交通事故に詳しい弁護士に相談するようにしましょう。

交通事故に詳しい弁護士の探し方などについては、以下のページをご覧ください。

 

 

交通事故の慰謝料請求のQ&A

交通事故の慰謝料を請求されたらどうすればいい?

交通事故の慰謝料を請求されたら、自分が加入している任意保険(自動車保険)の保険会社に相談することが考えられます。

通常、任意保険会社が示談交渉を代行して行ってくれます。

ただ、自らも相手方に慰謝料等を請求する場合には、早いうちから交通事故に詳しい弁護士に相談した方が良いでしょう。

 

交通事故の慰謝料請求を自分でできる?

交通事故の慰謝料の請求を、弁護士や保険会社を介さずに被害者自ら行うことも可能です。

ただ、交通事故の慰謝料その他の損害を被害者自ら算定するのは、膨大な手間がかかります。

それに、交渉では、相手の主張への反論もしなければなりませんし、必要な資料は何かを考えて準備する必要もあります。

こうしたことを、治療や日常生活の維持と並行して自ら行うことは、被害者の方にとって大変大きな負担となります。

交通事故の慰謝料を請求する場合は、早めに交通事故に詳しい弁護士に相談することをお勧めします。

弁護士を見つけることが難しい場合には、自分が加入している任意保険会社の示談代行サービスを利用することも考えられます。

ただし、示談代行サービスでは、被害者に最も有利な弁護士基準で算定した賠償金を得ることは難しくなります。

できるだけ弁護士に依頼して交渉した方が、得られる賠償金も増え、結果として得をすることになる場合が多いです。

交通事故の場合、自動車保険(任意保険)に付帯している弁護士費用特約によって、実質負担なしで弁護士に依頼できる場合が多いので、保険契約をご確認の上、ぜひ一度弁護士にご相談ください。

 

 

まとめ

今回は、交通事故の慰謝料等の請求方法、交通事故慰謝料の相場、交通事故の慰謝料請求に関して押さえておくべきポイントなどについて解説しました。

交通事故でケガをした場合、適切な補償を受けられるかどうかがその後の生活に大きく影響する場合しかねません。

特に、後遺症が残った場合や被害者が不幸にも亡くなられた場合は、ご本人のみならず家族の生活を支えるためにも、十分な賠償金を確保する必要があります。

そのためには、事故後なるべく早く弁護士に依頼することが重要になります。

早くに弁護士に依頼をすれば、治療中の注意点などついてもアドバイスを受けることができますし、後遺障害等級認定の際にもサポートしてもらうことができます。

もちろん、慰謝料等賠償金の示談交渉の際にも、弁護士が付いていれば、被害者に最も有利な弁護士基準での算定額を請求することが可能です。

弁護士に慰謝料等の請求に関することを任せることで、安心して治療や生活の立て直しに専念することもできるようになります。

当事務所では、人身事故での賠償請求を担当する人身傷害部を設け、担当弁護士の専門性を高め、日々皆様のサポートに尽力しております。

直接の面談はもちろん、電話やオンライン(LINE、Zoomなど)でのご相談もお受けし、全国対応も行っております。

お困りの方は、ぜひ一度当事務所まで、お気軽にご相談ください。

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