交通事故による半月板損傷とは?後遺障害認定される?
半月板損傷とは、膝を曲げた状態で膝関節に強く回旋する力が加わり(膝関節をひねった様な状態)、半月板の一部が脛骨と大腿骨の間に挟まることで発生する怪我です。
バイク事故で骨折などとあわせて生じることが多くみられます。
症状としては、階段の昇り降りやしゃがみこみ動作などの運動時に生じる疼痛と、膝に引っかかったような痛みが生じます。
膝の痛みが残存した場合には、後遺障害等級14級9号や12級13号に該当する可能性があります。
以下で詳しく解説いたします。
目次
半月板損傷の検査
半月板は、脛骨(すねの骨)と大腿骨(太ももの骨)の間に存在しており、膝関節の動きを滑らかにし、クッションの役目を果たしています。
半月板は骨ではなく軟部組織のため、レントゲン(XP)検査では異常を判別するのが難しいものです。
そのため半月板損傷の検査では、MRIでの検査が有用です。
MRIにより、半月板の断裂形態だけでなく、変性所見も確認できます。
また、半月板損傷の診断にあたっては、MRI検査といった画像診断の他に、マクマレー・テストやグリンディング・テストといった検査をする場合もあります。


半月板損傷で後遺障害が認められた事例はこちらをご覧ください。
半月板損傷の治療・後遺障害
治療方法
半月板損傷の治療にあたっては、以下の方法があります。
- ① 関節内に直接ステロイドを注入する薬物療法や痛み止めや消炎鎮痛剤などの内服
- ② リハビリなどの保存的治療を行う
- ③ 手術をする
特に、半月板の損傷がひどく、断裂しているような場合には、当該部分を手術により切除することがあります。
ただし、切除することで、変形性膝関節症を将来的に発症する可能性も出てくるため、手術を行うかどうかは、主治医の医師としっかりと話して決める必要があります。
後遺障害等級
交通事故により半月板を損傷すると、もちろん後遺障害等級に該当する可能性があります。
膝の痛みが残存した場合には、14級9号や12級13号に該当する可能性があります。
また、半月板と同時に膝の靭帯も損傷している場合があり、膝の可動域に制限がかかってしまうことがあります。
その場合には、その可動域の程度に応じて後遺障害等級が認定されることになります。
下肢の機能障害について、詳しくはこちらをご覧ください。
この場合には、しっかりと症状固定の段階で可動域の検査を行ってもらう必要があります。
当事務所の「半月板損傷」を受傷した方の解決事例
半月板損傷で12級に認定され裁判基準以上の賠償で解決した事例
等級:12級13号
損害項目 | 裁判基準 | 弁護士によるサポート結果 |
---|---|---|
傷害慰謝料 | 約174万円 | 約1220万円 |
後遺障害逸失利益 | 259万円(喪失率14%、喪失期間10年) | |
後遺障害慰謝料 | 290万円 | |
休業損害 | 304万円(事故日から症状固定時の全期間) | |
結果 | 約1027万円 | 合計 約1220万円 |
弁護士は、後遺障害診断書作成にあたって、診断書や診療報酬明細を取り寄せた上で、医師が作成した後遺障害診断書をチェックし、一部修正を依頼するなどして資料を揃え、後遺障害の申請を行いました。
結果は、左膝痛の症状について12級13号、右膝痛・頸部痛・腰部痛の3点については14級9号が認められ、併合12級の認定を受けることができました。
交通事故直後に弁護士に依頼し、12級7号の後遺症が認定された事例
等級:12級7号(左膝の機能障害)
損害項目 | 弁護士によるサポート結果 |
---|---|
入院雑費 | 11万1000円(裁判基準) |
休業損害 | 約130万円 |
傷害慰謝料 | 165万円 |
後遺障害慰謝料 | 290万円(12級、裁判基準) |
後遺障害逸失利益 | 490万円(賃金センサス × 14% × 13年(平均余命の2分の1、裁判基準) |
過失相殺 | 20%→10% |
結果 | 924万円(自賠責保険含む) |
内側側副靭帯を断裂したことによる膝関節の不安定性があるとされ、後遺障害診断書に明確にその旨を記載してもらいました。そして、事故後の画像なども病院から取得して、弁護士が相手方の自賠責保険へ後遺障害の申請を行いました(被害者請求)。その結果、膝関節の不安定性について、固定具が常時必要ではないものの、靭帯の断裂という器質的な変化が原因で生じたものと評価され、膝関節の機能障害として12級7号の後遺障害が認定されました。