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肩鎖関節脱臼の後遺障害は?【弁護士が解説】


掲載日:2016年8月12日|最終更新日:2019年5月3日

運動障害の場合は8級6号、10級10号、12級6号、
変形障害の場合は12級5号、
痛みが残った場合は12級13号、14級9号に該当する可能性があります。

 

肩鎖関節脱臼の原因は?

肩鎖関節は、鎖骨と肩甲骨の間にある関節であり、上肢を動かす役割を持っています。

バイクや自転車の交通事故で転倒したり、柔道やラグビーなどのスポーツにより肩を強く打ち付けた場合に、肩鎖関節がはずれ、その周囲の靭帯などが損傷を受けることがあります。

 

 

 

肩鎖関節脱臼の症状は?

肩鎖関節部に痛み、腫れが生じます。

症状が重くなると鎖骨が上へ突出し変形することがあります。

肩鎖関節のズレの程度や方向によって、以下の6つに分類されます。

  • 説明する医師のイラスト①捻挫
  • ②亜脱臼
  • ③脱臼
  • ④後方脱臼
  • ⑤高度脱臼
  • ⑥下方脱臼

 

 

 

 肩鎖関節脱臼の後遺障害は?

肩鎖関節脱臼により、肩鎖靭帯と烏口鎖骨靭帯(肩鎖関節に隣接した靭帯)が断裂し、鎖骨が上方にズレた状態が残存したとき、後遺障害12級以上の等級が認定される可能性があります。

運動障害

肩鎖関節は、肩を動かすのに必要な関節ですから、脱臼の程度によっては肩関節が動かしづらくなることがあります。

肩鎖関節が動かしづらくなることを運動障害といいます。

肩関節の動かしづらさの程度によって後遺障害等級が変わります。

動かしづらさの程度は、健側(ケガをしていない側)と比較してどの程度、可動域(動かすことができる範囲)が制限されているかで決まります。

運動障害による後遺障害等級
  • 8級6号
    「1上肢の3大関節の中の1関節の用を廃したもの」
  • 「用を廃したもの」とは、簡単に言うと、全く肩関節が動かない状態、あるいは、動いたとしても、ケガをしていない方の肩の10%以下しか動かないような場合をいいます。
  • ⇒後遺障害8級に該当した場合の後遺傷害慰謝料は、裁判基準(裁判をした場合の水準)で830万円です。

  • 10級10号
    「1上肢の3大関節の中の1関節の機能に著しい障害を残すもの」
  • 「関節の機能に著しい障害を残すもの」とは、肩関節の可動域(動く範囲)が、ケガをしていない側の肩関節と比べ1/2以下に制限されているような場合です。
  • ⇒後遺障害10級に該当した場合の後遺傷害慰謝料は裁判基準(裁判をした場合の水準)で550万円です。

  • 12級6号
    「1上肢の3大関節の中の1関節の機能に障害を残すもの」
  • 「関節の機能に障害を残すもの」とは、肩関節の可動域(動く範囲)が、ケガをしていない側の肩関節と比べ3/4以下に制限されているような場合です。
  • ⇒後遺障害12級に該当した場合の後遺傷害慰謝料は、290万円です。

 

変形障害

肩鎖関節を脱臼して治療したものの、脱臼がきれいに整復されず変形したまま固まってしまうことがあります。

裸になったときに、変形していることが明らかに見て分かる場合には、以下の後遺障害等級に該当する可能性があります。

変形障害による後遺障害等級
  • 12級5号
    「鎖骨、胸骨、ろく骨、けんこう骨又は骨盤骨に著しい変形を残すもの」
  • ただし、レントゲン上では変形が分かったとしても、裸になったときに明らかに変形が分からない場合には、認定されません。
  • ⇒この場合の後遺障害12級の慰謝料も裁判基準で290万円です。

 

変形障害の場合、後遺障害に認定(12級5号)されたとしても後遺障害逸失利益について争われることがあります。

後遺障害逸失利益とは、後遺障害が残ったことで、働きづらくなってしまい収入が減少してしまうことに対する補償です。

逸失利益の計算方法についてはこちらからどうぞ。

 

変形障害の場合、骨などの状態が変形しているだけなので、身体の運動や脳の働きには影響しないと考えられて働きづらくなることはない、という風に考えられるのです。

したがって、12級5号のみの認定の場合には、保険会社は後遺障害逸失利益を争ってくることが多いです。

しかし、肩鎖関節脱臼をした場合には、靭帯を損傷しており痛みが残っていることが多くあります。

こうした場合には、痛みが残っていることにより働きづらくなっていることを具体的に主張して、後遺障害逸失利益を主張するべきです。

後遺障害に認定された場合には、自賠責保険から後遺障害の認定票が届きます。

その認定票の「別紙」に、後遺障害が認定された理由が記載されているのですが、変形障害の認定(12級5号)のみの場合でも、「肩鎖関節の痛みについては、前記等級に含めての評価になります」といった記載がされていることがあります。

これは、変形障害12級5号を認定するにあたって、肩鎖関節に痛みがあることも評価して認定しているということです。

保険会社との交渉にあたっては、こうした記載を相手方保険会社に示しながら、痛みの部分の後遺障害逸失利益を主張していくことになります。

 

 

神経症状の後遺障害

肩鎖関節を脱臼したものの、運動障害や変形障害が特段残らないこともあります。

しかし、こうした場合でも痛みは残っているということもあります。

神経症状の後遺障害等級
  • 12級13号
    「局部に頑固な神経症状を残すもの」
  • 12級13号は、レントゲンなどから客観的に異常が分かり、それが原因で痛みが生じているということが医学的に証明できる場合に認定されます。
  • ⇒後遺障害慰謝料は裁判基準で290万円です。

  • 14級9号
    「局部に神経症状を残すもの」
  • 14級9号は、医学的に証明することまでは要求されませんが、医学的に説明できることが必要です。
  • つまり、レントゲンやMRIからは異常が明らかに分からないものの、事故態様や治療内容、治療頻度、症状の一貫性や連続性などから、交通事故が原因で痛みが残っていることが医学的に説明できた場合に認定されます。
  • ⇒14級9号の後遺傷害慰謝料は110万円です。

 

交通事故等により肩鎖関節脱臼をしてしまいお困りの方は、適切な補償を受けるために交通事故に詳しい弁護士に相談されることをお勧めします。

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