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股関節脱臼・骨折の後遺障害は?【弁護士が解説】


掲載日:2016年8月12日|最終更新日:2019年4月26日

股関節の機能障害が残った場合は8級7号、10級11号、12級7号、痛みが残った場合は12級13号、14級9号に該当する可能性があります。

 

1. 股関節脱臼・骨折とはどのようなケガですか?

交通事故などの大きなエネルギーによって股関節の脱臼・骨折がおこります。

股関節脱臼の種類は、

(1)後方脱臼
(2)前方脱臼
(3)中心性脱臼(寛骨臼骨折)

がありますが、多く発症するのは後方脱臼です。

2. 股関節脱臼の発生原因を教えてください。

(1)後方脱臼

自動車事故の正面衝突の際、座席に座っていてダッシュボードに膝を打ち付けられ、股関節に前方から後方に大きな力が加わり、大腿骨の骨頭(足の付け根の部分の骨)が後方にズレ、股関節の脱臼を生じます(ダッシュボード損傷ともいいます)。
この場合は、膝蓋骨骨折、大腿骨顆上骨折、大腿骨頸部骨折な度を伴うこともあります。

(2)前方脱臼

転落などで大腿骨が何かに引っかかった時に発生します。大腿骨が前方にズレます。

(3)中心性脱臼(寛骨臼骨折)

打撲などで大腿骨に外力が加わった時に発生します。大腿骨が骨盤の中へズレます。

股関節を脱臼・骨折した場合、脱臼部分の痛みや腫れ、股関節の運動制限(動かしづらくなること)が発生します。基本的に、足を動かすことはできません。
24時間以内に、脱臼をもとに戻さないと大腿骨の骨頭部分(足の付け根の部分の骨)が壊死してしまう危険があります。

 

3. 股関節脱臼・骨折の後遺障害について教えてください。

(1)機能障害

股関節を脱臼・骨折すると股関節が動かしづらくなることがあります。

関節が動かしづらくなることを機能障害といい、動かしづらさの程度によって後遺障害等級が変わってきます。

8級7号「1下肢の3大関節の中の1関節の用を廃したもの」

「用を廃した」とは、簡単に言うと、全く股関節が動かない状態、あるいは、動いたとしても、ケガをしていない方の足の10%以下しか動かないような場合をいいます。

下肢の3大関節とは、①股関節、②膝関節、③足関節(足首の関節)の3つです。

仮に、股関節の脱臼・骨折とともに、膝骸骨等を骨折し、膝関節も「用を廃した」場合には、後遺障害6級7号「1下肢の3大関節の中の2関節の用を廃したもの」に該当することになります。

 

10級11号「1下肢の3大関節の中の1関節の機能に著しい障害を残すもの」

股関節の可動域(動く範囲)が、ケガをしていない側の股関節と比べ1/2以下に制限されている場合に認定されます。

 

12級7号「1下肢の3大関節の中の1関節の機能に障害を残すもの」

「関節の機能に障害を残すもの」とは、股関節の可動域(動く範囲)が、ケガをしていない側の股関節と比べ3/4以下に制限されているような場合です。

 

これらの後遺障害に該当した場合の後遺傷害慰謝料は下表のとおりです。

後遺障害等級 後遺障害慰謝料額
8級7号 830万円
10級11号 550万円
12級7号 290万円

 

 

(2)神経症状の後遺障害

股関節を脱臼骨折したものの、幸い運動障害が残らなかったものの、痛みは残ってしまったという場合があります。

股関節部分について痛みが残っている場合、12級13号「局部に頑固な神経症状を残すもの」あるいは、14級9号「局部に神経症状を残すもの」に認定される可能性があります。

12級13号は、痛みの原因がレントゲンやMRIから証明できる場合に認定されます。

14級9号は、痛みの原因がレントゲンやMRIからは分からないものの、事故の規模や態様、治療経過などから、痛みが残っていることについて医学的に説明できる場合に認定されます。

こうした痛みの後遺障害は、時間とともに痛み自体は軽減していくと考えられているため、後遺障害逸失利益の算定にあたって、限定的に計算されることが一般的です。

後遺障害逸失利益とは、事故による後遺障害が原因で働きづらくなり、収入が減ってしまうことに対する補償です。

その算定にあたっては、労働能力の喪失期間(働きづらくなる期間)が重要になりますが、運動障害の場合は、原則、症状固定日から67歳までの期間で算定します。
しかし、痛みによる後遺障害である14級9号の場合は5年間、12級13号の場合は10年間と限定的に考えられています。

もちろん、これは目安なので障害の程度や治療の経過によっては、異なる判断がされることもあります。

後遺障害逸失利益について詳しく確認したい方は、こちらをどうぞ。

 

 

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