よくある相談Q&A

飲酒した友人の車で事故に遭いケガ。治療費は減らされるの?


掲載日:2016年10月4日|最終更新日:2020年1月24日

損害額が減額される可能性があります。

同乗者も事故に遭えば被害者ですから、事故による損害の補償は受けられます。

ただ、同乗者に過失が認められる場合、慰謝料から減額、全損害額から減額されることがあります。

そこで、どのような場合に減額されるのか紹介します。

同乗者も賠償が受けられる根拠

自動車の運転手の同意のもとに自動車に同乗した人を、好意同乗者といいます。

好意同乗者は、自賠責法3条本文の「自分のために自動車を運行する者は、その運行により他の人を死亡させ、又は負傷させたときは、その損害を賠償する責任を負う。」の「他の人」に含まれます(最判S42.9.29)。

あくまで好意同乗者も、事故との関係では「他人」であるため、賠償が受けられるのです。

同乗者が認識していた危険事情と事故発生との因果関係

同乗者が運転手の飲酒、睡眠不足その他の危険事情を認識していたとしても、当該事情が事故の発生に影響を与えていない場合。

大阪地判H3.11.7
交差点を右折しようとした車両が対向直進車と衝突し、対向直進車の同乗者が負傷した事案で、対向直進車の運転手の飲酒が事故発生原因となったとは認められないとし、減額を否定した事例

運転者と同乗者の関係

同乗者が運転者の過失ある運転を抑止できる立場になかったといえる場合。

東京地判H24.7.18
同乗者が飲酒した年長の運転者対し、危険な運転をやめるように言えない雰囲気があったとして、事故で負傷した同乗者の損害の減額を否定した事例

 

 

客観的事情が存在することを知っていた場合

同乗していただけの理由では、損害額が減額されることはありません。

しかし、同乗者自身において事故の発生の危険を増大する状況を現出したり、事故発生の危険が極めて高いような客観的事情が存在することを知りながらあえて同乗したような場合、同乗者の賠償金が減額されることになります。

同乗者の損害が減額される事例

飲酒運転

  • 運転手が飲酒していることを知りながら同乗すること。
  • 運転手と被害者が一緒に飲酒をしたこと。
    ※ホステスなどが客と一緒に飲酒をし、客の車に同乗した場合など、同乗者の帰責性が大きい時は減額が大きくなります。

無免許運転

運転手の免許のないことを知って同乗する場合です。

横浜地判H26.7.17
16歳の少年Aが自ら所有するバイクを15歳の少年B(無免許)に運転させ、少年Aが後部座席に同乗していたところ、事故を起こした事例
少年Aが少年Bの無免許であることを認識しながら、バイクを運転するよう積極的に誘い同乗したことを理由に、賠償額の減額を認めました。
大阪地判H28.3.30
オートマ車限定免許しか有していない者が、同乗者を乗せた上でマニュアル車を運転し事故起こし、同乗者が死亡した事例
同乗者は、運転者がマニュアル車の運転免許を有していないことを知っていたことに加え、運転を制止せず、車両から降りようとした形跡がないことから、賠償額の減額を認めました。

運転者の反規範的な運転態度

  • 暴走族の集団暴走行為。
  • 単にスリルを楽しんだり、パトカーの追跡から逃れるため信号無視やスピード違反を繰り返したりすることを承知で同乗した場合。
  • 事故前の同乗の機会に運転者の乱暴な運転を経験していたにもかかわらず、当該運転者の運転する車両に同乗した場合。
名古屋地判H17.3.30
運転者の運転する車両を別の車両で追従した機会に、当該運転者が相当なスピードを出して運転することを知ったのに、当該運転者の運転する車両に同乗した事例

疲労運転

長距離運転、深夜運転などで休息などを助言せず、漫然と同乗した場合。

岡山地判H6.4.28
高校時代の友人に頼まれて、友人とその仲間をスキー場に案内した者が、その帰途に前夜の睡眠不足とスキーの疲れから居眠り運転し、対向車との衝突により同乗者を即死させた事例
前夜友人らを迎え、当日は往路運転、スキー後も帰路を運転していた運転者の立場に対する周囲の配慮が不足していたとして、賠償額の減額を認めました。

未熟運転

免許を取得したばかりの初心者であると知りながら、無理な運転をさせた場合。

大阪地判H7.6.22
友人の運転する自動車に同乗中に転落事故にあって受傷した場合に、被害者は友人の免許取得が約1か月半前であり、運転技術が未熟であることを知っていた事例

シートベルト不着用・ヘルメット不着用

シートベルトを着用せず同乗、単車でヘルメット着用せず同乗した場合。

箱乗り

同乗者が車両の窓から上半身を乗り出したり、窓枠に腰掛けたりする行為。

 

減額される割合

裁判例で認められる減額の程度は、事案によって異なりますが、概ね10%〜25%程度です。

大阪地判H14.3.5
運転手がお酒を飲んでいることを知りながら、同乗した被害者に好意同乗者として過失10%を認めました。
横浜地判H22.10.29
同乗者が車体右後部の窓枠から身を乗り出して乗車したため、車両が交差点を時速40キロメートルで左折しようとした際に右に横転して同乗者が死亡した事例につき、同乗者に25%の過失を認めました。

このように同乗者でも治療費などの賠償金が減額されることがあります。

お悩みの方は交通事故に詳しい弁護士へご相談ください。

 

 

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